美術・本・映画・音楽

安価な高麗青磁の湯飲み

8、9年前 ソウル仁寺洞(インサドン)の 間口の狭い陶器屋の前。 高麗青磁の湯呑みが カートの中に 雑に入れられ 安価な値段で売られていた。 二つ買い求め 大事にバッグに収めた。 それは手のひらに載る程の大きさ。 淡いブルーに 潔く貫入が入る小さな器…

ダリアと松ぼっくり

ダリア ピンクとオレンジ色の 大輪のダリアの花を貰った。 デュフィーの描く フランスの壁紙の色だ。 朽ちかけた壁を思わせる花瓶の中 東の窓の側で 淡い昼の光を受けている。 そばに置いた2個の松ぼっくりが 静かな声で思い出を語る。 韓国 水原華城(スウ…

三谷龍二さんの文から

「住む。」という季刊誌を 図書館で定期購読している。 木の家を見るのが好きで愛読しているのではなく 「長田弘」の詩が好きで それだけの為に借りていた。 「長田弘」亡き後 今は三谷龍二さんの 短いエッセイを楽しみに読んでいる。 三谷龍二さんは 信州で…

輝く タフなミント

ミント 夏にひょろりと伸び 葉を茂らせ 風に揺れると 空気にいい香りを撒いた。 窓辺に置いたミントの鉢。 夏の終わりに 短く切った。 タフなハーブ ミントは 決して消えたりしない。 台風の強い北風が吹き去った今朝。 青空に小さな雲が北から南へ流れ 空高…

朽ちた木っ端

湿った土の上に 重なって数年。 チェーンソーで切った 雑木の木っ端 軍手をはめた指で そっと裏返した。 現れたのは 白と焦げ茶の 力漲る木の造形だった。 人の感性と同じ数だけ 美しさの感じ方がある。 私は この朽ちた木っ端を見た瞬間 「おお!」と 心が…

メルカリで本を売る

舊約聖書 1954年刊 本を処分する時に迷うのが 「愛着のある本をどの様にして処分しようか?」だ。 ブックオフに持って行っても 古い本や 焼けやシミのあるのは まず相手にされない。 役所の支所のリサイクル場に運べば シュレッダーにかけられてお終いだ…

小説「エデンの東」 ジョン・スタインベック著

ジョン・スタインベックと言えば「怒りの葡萄」 読んでいなくても 知っている人は多数。 スタインベックのもう一つの大作が 「エデンの東」である事。 それを知っている人は意外と少ない。 私が中学3年の時 学校の壁に「中学生のための映画会」の ポスター…

今年も咲いた 白百合

咲き始めた白百合が 頭を傾げている。 一本の茎から 幾つもの花。 野菜を植えるのをやめた ケンジさんの畑に 沢山咲いている。 この花が嫌いなケンジさんは 広い畑に咲いた花を 去年の秋に抜いてしまった。 狭い方の畑に 今年も咲いた白い百合を 雨降りの合…

「湖国の食事(くいじ)」図録から

「湖国の食事(くいじ)」 琵琶湖博物館 企画展図録 琵琶湖をぐるりと囲む4っつの地域。 湖北 湖南 湖東 湖西。 それらの地域の伝統食を琵琶湖博物館で展示している。 その図録が 知人から届いた。 滋賀のネイティブではない私の 知らない食材 料理が80ペ…

絵本「いぬとふるさと」 絵・文 鈴木邦弘

絵本「いぬとふるさと」 絵・文 鈴木邦弘 2011年3月11日 東日本大震災が発生した。 福島第一原発は 津波により 制御不能に陥った。 そして 3月19日。 帰還困難区域に指定された 双葉町の住民1000人以上が さいたまスーパーアリーナへ一時避難…

暮しの手帖の料理本(2)「一皿の料理」

前回の料理本が 家庭のお惣菜、おかずの数々であるなら 今回のは 当時大阪ロイヤルホテルの料理長 常原久彌のプロの技である。 プロの技を 分かりやすく 家庭でもちゃんと作られるように 実に上手い語り口で 作り方が綴られている。 「おそうざい十二ヶ月」…

暮しの手帖の料理本(1)「おそうざい十二ヶ月」

暮しの手帖の料理本「おそうざい十二ヶ月」 懐かしい花森安治のフリーハンドの字。 私の20代の頃から ずっと家にあった。 地味な織の写真の ハードカバーの装丁。 中に紹介されている 201ものお惣菜も 地味な 当時の母の味。 「大根ととりだんごの煮込…

「極北の動物誌」 ウィリアム・プルーイット著

およそ 20年ほど前 朝日新聞の書評で知り買った。 1960年代初め アラスカの大地を 核実験場開発計画から守り 故国を追われた動物学者 ウィリアム・プルーイット。 簡単な著者の経歴に興味を持った。 勿論 アラスカの大自然に 憧れたのは言うまでもない…

「枯れた植物」 続き

栃の実 昨日の「枯れた植物」の続き。 toikimiさんが 私の栃の実を表現した「頑固ジジイみたいな実」 を 二度見に行ったと ブックコメに書いておられた。 写真の中の小さな栃の実では 頑固ジジイ風が分からないであろうと 今日 アップで撮った。 どうだろう …

枯れた植物

手元にある枯れた植物。 松ぼっくり 樅の実 栃の実 杉の実 どんぐり 百合の花 コアジサイ 等々 松ぼっくり 樅の実 濡れると開いた種子が閉じる。 栃の実は 厚い殻に守られ ある日 それが割れて 四角い 頑固ジジイみたいな実が現れる。 枯れた薄い茶色の百合…

幸せな猫の話を読んだ

用事があって 山を下る。 JRの駅界隈に行くまで ずっと緑の山 田んぼ 広い川が続く。 広い緑の空間に 「ああ気持ちがいい。」 用事を次々と済ませ 最後は図書館に本の返却。 返却した本の中 一冊の雑誌に 金井美恵子の面白い文があった。 猫の話。 金井美恵…

ドキュメンタリー映画 「日常対話」

2016年製作 1978年生まれの台湾の女性監督ホアン・フイチェン 同性愛者の母親を撮ったドキュメンタリー プロデューサーは台湾を代表する監督ホウ・シャオシェン 2019年 アジアで初めて同性婚が合法化された台湾 だが 1950年台の台湾の農村は…

明るい空とも しばらくの別れ

夕方 メルカリに本を出品した。 数ヶ月前に写真に撮った50冊ほどの本達 その中から 2冊を選んだ。 細かく説明を記し 価格を決める。 長い間手元にあった本を リサイクル場に持って行くには忍びない。 誰かが気に入って 読んでもらえたら嬉しい。 「捨てた…

森茉莉の染み

20代の頃 私は森茉莉の本を何冊何冊も 熱心に読んでいた。 森茉莉の書く 森茉莉の生活。 10代に行ったベニスの運河の色を コカコーラのガラス瓶の色であったと話したり 風呂もないアパートの 狭い一部屋でする料理の 目玉焼やオムレツでさえも その色や …

燐寸倶楽部(マッチクラブ)の葉書

薪ストーブの薪に 夫の煙草に 仏さんの蝋燭に 裏でゴミを燃やすのに。 一日に何回もマッチで火をつける。 こんなにマッチを愛するからには 兼松日産農林の 燐寸倶楽部(マッチクラブ)に入らなければ。 夫がマッチクラブに入ったのは 随分前だ。 マッチの小…

料理本 ”Irish Country Cooking"  

"Irish Country Cooking”に出てくる料理。 それを 読み進めると アイルランド そしてアイルランド人にとって ウィスキー ビール ポテトが いかに 大切な物かがよく分かる。 日本料理(家庭料理から料亭の料理まで)にも 酒をよく使う。 しかし アイルランド…

初めてのメルカリ 藤原新也の本

藤原新也の本を 次々へと読んでいた時期があった。 藤原新也の入門編とも言うべき 「印度放浪」「西藏放浪」から ユーラシア大陸を縦断した「全東洋街道」 そして アメリカの旅 アイルランドの旅。 旅の本だけでも 随分と読んだ。 20代の若者が カメラを一…

映画「ミナリ」

2020年製作 1980年代 アメリカ アーカンソー州に成功を夢見てやってきた 韓国系移民の若い一家。 夫 妻 娘 息子。 様々な困難 予想だにしなかった出来事に見舞われ 妻のモニカは 今の生活に不安だらけだ。 そんな時に妻の母スンジャがやって来た。 …

「少年の港」 藤原新也著

若き藤原新也が 好奇心と感動で 書き綴った 「印度放浪」「西藏放浪」「全東洋街道」 インド チベット ユーラシアを たった一つのカメラで 大きな空や岩山 その地に暮らす人達 喧騒を撮った。 放浪三部作(私が勝手にそうよぶ)の後 アメリカ アイルランド …

アメリカ映画「スモーク (SMOKE)」

アメリカ映画 「スモーク」 1995年公開 原作 脚本は、作家のポール・オースター だ。 1990年 ニューヨークのブルックリンの街角の小さな煙草屋 そこに集う常連客の それぞれの人生を描く。 同じ時刻 同じ場所を Canonで撮る 煙草屋の主 オギー・レン…

図書館で借りた本 「キネマ旬報」「ワカタケル」

図書館で予約の本を受け取った。 「キネマ旬報」は定期予約をしている。 映画評や最新映画のニュースを読んでも 山奥から映画館に行くのは半日仕事だ。 だから よほど興味のある映画しか行かなくなった。 本の記事を読んで満足している。 そして もう一冊。 …

写真展 京都

うちの集落のまだ奥に住み 一眼レフで村の人 慣習 風俗 自然を 撮り続けている写真家がいる。 東日本大震災が起きた時 カメラではなく スコップを持って 東北に駆けつけた人。 山の村から 東北へと 行ったり来たりの10年間の写真と 村の写真を 京都の画廊…

本の整理 処分(3)

1969年 発行 民芸遍歴 「民芸」と言う言葉を知った本だ。 日本各地の陶磁器 染織 漆器などの日常雑器。 李朝時代の陶磁器 工芸品。 江戸時代の木喰の像。 無名の職人の作る物に 美を見出し 日本各地を旅して それらを世に紹介した 柳宗悦。 民芸運動の波…

本の整理 処分

あるひと時 熱中して読んだ本の数々。 それらの本の整理をしながら もう一度 読む事はないだろうと 次から次へと 机の上に積み重なる本。 文化人類学者の川田順造。 アフリカ サバンナのオートボルタ(ブルキナファソ)で 文字を持たない民族を調査した人だ…

胡桃のケーキ

ブラウニーではなく 胡桃のケーキ と このレシピの人は言う。 それ程沢山の刻んだ胡桃と たっぷりのココアパウダー。 美味しいに決まっている。 柔らかいバターをよく混ぜて それに 砂糖と卵。 小麦粉 ベーキングパウダー ココア 刻んだ胡桃 バニラ。 四角の…