2020-03-01から1ヶ月間の記事一覧
林の中の 大きな石を くるりと包む ふかふかとした苔。 手のひらで押さえると 穏やかに反発する。 ユリ科の葉が 苔の中から覗き出 高い枝から 杉の茶色の丸い種が 苔の上に バウンドして落ち着いた。 静かな 林の中での 石の上の小さなドラマ。 観客のいない…
この植物は一体何なのか? 大きな葉っぱが 思い思いに広がって ちょっと行儀も悪い。 杉の林の中で ポツリ ポツリと大きな芽を出している。 これは大きくなるぞ・・・ と 覗き込む。 どんな花を咲かせるのか? 覚えておこう 暖かくなったら 見にくる様に。 …
95歳 現役の人生を送るオチヨさん。 たった2キロの道を車で送ると 必ず 野菜や漬物を私に持たせる。 私が断っても 頑として引かない。 そんなこんなで 立派な紫芋が入った袋を持って帰る。 耐熱ガラスの器に 程よい大きさに切った紫芋 砂糖と一つまみの塩…
10年ほど前に 小屋のそばに植えたミント。 驚く程に 繁茂せず いつも一定のスペースを保っている。 それは 私が 料理 飲み物へと 常に摘んでは 使っているからだろう。 温かいジャガイモに 自家製フレンチドレッシングを回しかけ 上にミントを千切って散ら…
「やっと咲きましたよ」 と 会う人ごとに話したい。 小さな梅の花。 枝に沢山の蕾をつけ まだ 咲き始めたばかりの 初々しさだ。 5枚の花びらに 同じ色のしべ。 やがて 花びらが散り 葉が茂り 小さな青い梅が実るはず。 香りも微かなその花は 小鳥が休んで鳴…
抹茶水無月 京都三条木屋町を上がった所。 老舗の和菓子屋が並み居る京都で 本間物の和菓子を真面目に作って来た と 私が勝手に思っている店。 「月餅屋」 その月餅屋の 抹茶水無月を一棹。 抹茶色のういろうの上に 寒天で固めた エンドウ豆と栗。 小細工な…
久方振りに 小屋の北の谷にそい 奥へと上がる。 谷の水は清らかで 木々の間から漏れる陽が明るい。 鳥達の鳴き声が あちらこちらで響く。 大きく響くのは シジュウカラの警戒音。 倒れた木々を覆う 柔らかな苔 地衣類。 時折聞こえる ピシッという音。 周り…
植えて 大切に育てた花であっても 風雨にやられて いつの間にか 消えてしまったのもある。 かと思えば 切り落とした 大根や 蕪のへたを 土に埋めるだけで 青い葉を元気に出してくれるのもある。 青い葉物がない時も 出てきた葉っぱをちぎり ご飯の一品にした…
手のひらに載る程の 10センチにも満たない 小さな灰皿。 赤の顔料が埋め込まれた 刻まれた花と葉っぱ。 金色に光ってはいるが これは 銅かも知れない。 アラジンが履いていた様な エキゾチックな靴だ。 夫が物心ついた時から家にあり 今は 私が探し物をす…
3月20日 とても冷たく 風の強い日だった。 しかし この明るさは 春がそこまで来ているのを 私に告げる。 こちらは まだ 蕗の薹 オオイヌノフグリ サルナシ 水仙 オウレンの花が開いたばかり。 風は強いが 明るい午後の景色を切り取った。 では 今日はこれ…
京都 大原 19日 お墓参りに行った。 山から下の街 京都へ。 途中 大原の里の駅に立ちよる。 お墓に供える花を買う。 ヤブツバキと水仙の 小さな花束を二つ。 小松菜 ほうれん草 菜の花も買った。 暖かい日の空の下。 大原の風景はひたすら 穏やかで長閑だ…
クリスマスローズ 数年前の出来事だ思っても それは 10年前であったりする。 「白の闇」を読んだのもつい数年前だと思うが 多分 10年ほど前なのだろう。 読み始めた時から 心臓の鼓動が早くなる様な 衝撃的な内容だった。 ポルトガルのノーベル賞作家 ジ…
強い風で 折れた水仙を指で切り ガラスの瓶に挿す。 窓際に置いた水仙の 濃密な香り。 オフホワイトの花びらが 太陽に透けて見える。 渋い黄色の小さな椀が シベをしっかりと守る。 茎は濃い緑。 葉は迷いなく上を目指す。 小さくも 大きい 水仙という花の …
3月9日 強い北風で 雪が斜めに叩きつけられる様に降る。 とても 表に出られない。 断続的に降ったり 止んだり。 除雪車が朝方に通った。 大きな音を立てて 小屋の前を過ぎる。 夜には 屋根から 雪が滑り落ちる。 地震の様な音と響き。 1週間前には 杉の葉…
アップルパイは特別なおやつだ。 なんと言っても パイ皮のサクサクとした食感。 バターの香しさ。 これを求めるには どうしても 家で作るしかない。 自分風に作っていると オリジナルのレシピに 狂いが来る。 初めて焼いたアップルパイレシピ。 それに戻して…
新書版サイズ位の緑の本。 麻布の表紙だ。 水に濡れた跡がある。 本棚の隅に隠れた様に立っていた。 表紙を開ける。 「アルプスの少女 ハイジ」が成長し 娘になった頃の話だ。 額縁の様にページを囲む 植物の絵の なんと魅力的な事か。 長い序文の最後のペー…
やっと 出て来た。 星みたいな花 ハコベ。 元気で逞しい ミントの間に こっそりと 顔を出す。 周りを見渡せば 地味な黄蓮の花 青いオオイヌノフグリ 風で茎が倒れた水仙 そして イワナシ。 花の香りが 空気に乗って漂って来るまでは もう少し。
3月13日 午後 空気は冷たいが 雲ひとつない 穏やかな日だった。 用事で湖西に下り その時に車の窓から見えた 緑青色の琵琶湖。 私は心底からため息をついた。 対岸に見える 湖東の山並み。 空はあくまでも広く 湖は 浜にゆっくりと 小さな波を打つ。 人は…
イワナシ 彩りのない 山村の春に やっと見つけたピンクの花 イワナシ。 小屋の前の崖に 毎年 春の初めに咲く。 これから次から次へと 咲いていくはず。 そして その後に 小さな儚い味の実が付くはずだ。 イワナシ アカモノ これは小屋の前に咲く。 ジギタリ…
スナップエンドウの筋を取る。 弾ける様な 青い香り。 筑前煮で使ったゴボウの残り。 切らなくてもいい程の細さ。 たわしでさっと洗うと 気骨ある香りがたった。 共に塩を加えて湯がき スナップえんどうは陸あげ(おかあげ)で ゴボウはさっと水に晒す。 小…
数年前に ひょっこり芽を出した栃の木。 中々大きくならなかったのに 去年から その成長が 目に見えて著しい。 赤い衣の新芽を触ると 強い粘着質の液で 私を拒否する。 暖かくなると 赤い衣を脱ぎ捨て 柔らかな若葉が出て 5枚の大きな葉っぱが広がる。 木の…
私の人生の中の40年間 必ず 犬 猫がいた。 最初の犬は 新聞の「犬貰って下さい」の広告だった。 まだ バナナが高い果物であった頃 バナナ一房を持って貰いに行った。 飼い主は 別れを惜しんでいるのに 子犬はトコトコと私について来た。 1ヶ月後 父が元飼…
崖を覆う苔に 小さな 浅い緑の苔の実。 自然の妙。 腰をかがめて 顔を近づけ 写真に撮った。 今日はこれで。 又 明日。
朴訥な顔をした豆大福。 「これは美味いぞ」と 感が働く。 あんこを包む餅は 柔らかい菓子風でなく しっかりとした餅。 黒豆は少し固く あんこは粒餡で程よい甘さ。 粉にまみれた姿は 決して店先に行列が出来る そんな 店の大福ではない。 20代に 東寺の弘…
寒くて 冷たくて 雪が 強い北風に吹かれて 真横に飛んで行く。 雪と晴れ間が交互にやって来て あっという間に 1日が過ぎた。 晴れ間に 表に出て 浴びた太陽の光。 流れる川も明るく光る。 清冽な 朗らかな水しぶきをあげて 川は先へ先へと 急いで走り去る。…
捨てられていた 大きなすり鉢に 5本の小さなミントの苗を植えたのは 去年の初冬だった。 雪をかぶっても 溶ければ シャンと立ち直る。 そして 小さな時は 普通のミントの様相だったのに 今や ちょっと大人びて 茎や葉脈が 紫色に見えないか? チャックの畑…
沢山の種が落ちる ヤブツバキの大きな木の下。 艶々として 柔らかい 藪椿のかわいい芽。 太陽に向かって 小さな葉を広げる。 見上げる大木の 椿になるまでの何十年を 生き延びる事が出来るのか。 靴で踏まれたり 豪雨で流されたり 強風で倒されたり。 そんな…
小屋の周りに 生えている苔。 それを鉢に載せるだけで 草原が出来ないか? と思ったり アカモノの小さな木が 苔の中から顔を出しているのが 草原の中に立つ木にならないか と思ったり。 なるほど 盆栽とは 小さな鉢の中で 小宇宙を描くものなのか。 そんな事…
雁が飛んで行く。 波静かな海の中に立つ 鳥居の先は 神社か 家か。 何百年も経った大きな松の木。 夕暮れ近くの 穏やかな時を 呉須の藍で濃淡をつけ 慣れた筆さばきで 海と空と山と そして 人の気配まで描いてある。 小さな楕円の皿の中の大きな世界。 京都…
紙クリップは MADE IN ENGLAND。 イギリスでのパテントは1902年 アメリカでのパテントは 1903年2月24日。 そんなに古い物だった。 長い間みじかにあったのに 今日まで 気が付かなかった。 夫の祖父が使っていた。 赤銅色をしているが 新品の時は …