2021-02-01から1ヶ月間の記事一覧
蜂蜜レモン 小さいレモンを 四つ切りにし 湯呑みに ギュッと絞る。 柑橘類の青い香りが立つ。 そこに 蜂蜜をたっぷりと。 ストーブの上のヤカンに 音を立てて沸いている湯を 湯呑みに注ぐ。 染め付けの湯飲みは 40年ほど前に 京都寺町二条の北東の角 若い…
栗の稲木 農家の庭先に 所在なげに横になっている 趣深い木。 「あれは一体なんだろう?」 稲木だよ。 刈り取った稲を干す為に 栗の木で柱を2本作り 縦に8個ほどの四角の穴を開けるんだ。 その穴に竹や木を渡し その横木に稲を逆さに干すんだよ。 乾燥機が…
春一番の花は オオイヌノフグリと決まっているのに 「どうしたの? こんなに早く顔を出すなんて。」 私が思わず声をかけたフキノトウ。 1メートル四方程の ごろごろとした石の間。 ぽこぽこ ぽこぽこと 可愛い姿で群れている。 日当たりがいいのかな? と 上…
川の流れを見つめるのは 焚き火を ぼんやり眺めるのに似ている。 メラメラと燃える木の炎。 それを囲む人は 話す事もせず 炎が小さくなれば その上に 又 木を積む。 川がザーザーと音をたてながら 石や岩を越えて行く。 白い泡が姿を変え 勢いよく流れる。 …
ジャケットも羽織らず 車に乗り 郵便局へ荷物を出しに 山を下る。 雪の降った後 なんの 躊躇もない 春の日和だ。 光の色は 白く輝き フロントガラスから差し込む 西からの日差しが目を射る。 郵便局で荷物を出し 表に出ると 川向こうから チェーンソーの の…
見た事もない物に出会った時 人はどうするだろう? 私はゆっくりと近づき あちらこちらを眺めたりする。 雪が 40センチ程積もった日の昼間。 細い枝に 砂糖のような白い雪が 絡まっていた。 上から眺めた 繊細な細いツツジの枝。 そこに絡まった白い雪の …
うちのそばの谷を20メートルも入ると もうそこは 深い山の風情だ。 普段は暗い杉の人工林が続き 暗くて 面白みのない山だが 雪が降ると 暗い景色は 白い明るい山に姿を変える。 谷の水は豊かに流れ落ち ここを カワガラスが縄張りにしている。 鹿の通る獣道…
まだ2月の半ば そりゃあ 雪も降るだろう。 数日降り続いた 重たい雪は40センチ程。 赤いトタン屋根から 大きな音を立てて落ちる。 錆色の花が咲いた人工林の杉は 雪をたっぷりとまとい 花粉を飛ばす術が分からない。 百合の枯れて開いた莢に 気持ちよさそう…
午後4時半(ミッドタウンにて) 夕方 買い物に出かける途中 「ミッドタウン」のローソンで ホットココアを買った。 寒くて 冷たくて 風の強い今日 神々しく輝きながら 沈む太陽を見ながら 熱いココアで 一息入れた。 「ミッドタウン」から車で20分のスー…
山の間の狭い溝のような所は「セコ」。 清らかな水が いつも上から 迸るように流れる。 山の何処かから 湧き出で 下に向かって 一気に駆け降りる。 夏に セコを流れる水は 生い茂る緑の草の陰に隠れ ザーザーという音だけが 私の耳に残る。 小雪が舞い 強い…
小麦粉ときな粉を混ぜて 予想外の美味しいクッキーが焼き上がった。 指で摘み かじると それはしっとりと まるでマジパンの食感と深いコクを持つ。 姿は素朴で 土の塊のようだ。 この土の塊に胡桃のかけらを飾る。 薄茶の木綿か 麻の服に 木のボタンを付けた…
クリスマスローズ 植木鉢から 土に植え替えた。 元気で 健康的な姿で芽を出した クリスマスローズ。 去年の秋 鉢の中で 白い根がぐるぐる巻になり 濃い緑の固い葉は 元気なく下を向いていた。 土をスコップで 浅く掘り 植木鉢の形をしたまま ぽん ぽん ぽん…
おい おい 何をそんなに慌てて 青い空を 流れて行くの? まるで子犬が戯れ合うように 形を変えて走る 小さな雲達。 雪を被った林や山は そこからどんな風に見えるの。 小さな赤いトタン屋根の 私を雨や風 雪から守る小屋。 煙突から立ち昇る煙が見えるかな?…
立春を過ぎて降る雪は 溶けるのが早い。 さあ もうすぐ春だぞ と 雪の下で 蠢く熱気。 そのエネルギーが 雪を溶かすのだ。 雪から伸びる 強くしなる濃い茶色の枝。 花も葉もない ベニウツギや ウノハナ そして 銀灰色の芽を出した 柔らかなネコヤナギ。 私も…
2月9日 深夜に 道路を走るタイヤの音。 その音で 雪が降っているのだなと分かる。 そして 夜が明けると 窓から見える景色は 厚い雪に覆われて 眩しく輝いていた。 粉砂糖を振りかけた様に 美しい 杉の林。 足跡のない 雪の上に 私の靴の跡がつく。 ゆるや…
蜂の巣 動物の働きはとても不思議で興味深い。 例えば 鳥の巣作り。 枝や草で出来た 快適な巣に 青や黄や茶の鳥達が憩う。 そして 蜂の巣。 薪用の廃材に 泥を重ねて作った小さなドームを見つけた。 その小さな入り口から見える 外の世界は どんな風なのだろ…
凍った苔も 枯れた葉も 淡い緑色の木苺の葉も 夜に降った粉雪を被り 水溜りには氷が張った。 キーンとした空気が 小屋を包み込み 昼間は賑やかな 鳥の声も聴こえない。 谷筋の山の村は 太陽が山の向こうから 顔を出すのを 静かに声を潜めて待つ。 陽の光の輝…
国産レモンが3個。 届いた荷物の中に入っていた。 濃い緑の葉の間に 黄色の実が 見え隠れする。 空は青く そこには雲が 流れていなければならない。 私の頭に浮かぶレモンの実は そんな明るい景色の中にある。 そして 魅力的なレモンの形は ザクロの姿と同じ…
赤魚をムニエルにした後のフライパン。 胡椒と塩と魚の旨味が残った油。 そのフライパンに 薄く切った人参を並べ 強火で焼いた。 より濃いオレンジ色の鮮やかさに 濃い茶色の焦げ目が美味そうだ。 野菜の色の美しさと瑞々しさ。 それらを 器に入れた時の 小…
一日中 小雪が舞って 風の強い日だった。 首にマフラーを巻き ダウンのコートを着た。 暖かい。 これからも 冷たくて 寒い日が続こうと もう春はそこに。 立春なのだから。 陽の光を浴びた 菜の花の蕾。 しっかりとした茎に 大きな濃い緑の葉。 その菜の花を…
1969年 発行 民芸遍歴 「民芸」と言う言葉を知った本だ。 日本各地の陶磁器 染織 漆器などの日常雑器。 李朝時代の陶磁器 工芸品。 江戸時代の木喰の像。 無名の職人の作る物に 美を見出し 日本各地を旅して それらを世に紹介した 柳宗悦。 民芸運動の波…
1961年 発行 スイスの画家 パウル・クレーの日記。 レモン色の帆布生地で装丁され しっかりとしたブックボックスに入っている。 21歳の私は この本が欲しくてたまらなかった。 当時 980円の本は 高い買い物。 何回か旭屋書店に通い やっと買った思い出…
あるひと時 熱中して読んだ本の数々。 それらの本の整理をしながら もう一度 読む事はないだろうと 次から次へと 机の上に積み重なる本。 文化人類学者の川田順造。 アフリカ サバンナのオートボルタ(ブルキナファソ)で 文字を持たない民族を調査した人だ…