馬酔木の花が咲いた

馬酔木の花

馬酔木の木は 村の山 道の脇 どこにでもある。

花が咲いていない時の馬酔木は 

濃い緑の艶のある葉っぱが 枝にふさふさとついている

全く目立たない木だ。

 

20代に読んだ 堀辰雄のエッセイ「大和路」に

馬酔木の花が出てくる。

京都 浄瑠璃寺の山門への道に 

並んで植っているというのを読み

数年後(半世紀前)に友達と尋ねた事がある。

 

JRの駅から どうやって行ったのか覚えていないが

田舎道 山道を随分歩いた記憶がある。

そして 辿り着いた浄瑠璃寺

本堂の前に 小さな池があるこぢんまりとした寺だった。

綺麗な吉祥天の像もあったと思うが 覚えていない。

馬酔木の木は 花の季節ではなかった。

 

帰り道に 道端に並べて売られていた

椎茸 柿の実を買い 竹筒にお金を入れた。

確か200円だった。

 

今日目覚めると 強風で雪が横殴りに降っていた。

山の木の枝が 大きく揺れてゴーゴーと音を立てていた。

数センチ積もった雪は すぐに溶け

雨水のように 屋根から滴り落ちた。

夕方に風が止み 心のざわつきが落ち着いた。

 

琵琶湖西岸比良 醤油味のおかず

3月14日(木)集落

15日金曜日 琵琶湖西岸の比良に行った。

別荘地の中にあるギャラリーでやっている

若い知人のグループ展を覗きに行った。

 

比良は「比良八荒(ヒラハッコウ)」と呼ばれる強風が

春先に 比良山系から吹き下ろすので名高い土地だ。

車で走っていると

西側に雪を載せた比良山系が おい被さるように迫り

東には 青い琵琶湖が広がっている。

狭い谷筋から湖西に来ると 空の広さを感じる。

 

山も 湖も柔らかい靄がかかり

ここらはもう春だった。

 

帰宅後 「小屋」の周りの整理をし

すぐに夕飯準備にかかった。

紅鮭と鰆の粕漬けを焼き

レンジでチンした じゃがいもと人参を付け合わせ

ほうれん草を湯がき すり鉢で胡麻を擦り

少しの醤油を垂らして和えた。

今年のほうれん草は 実に美味しい。

具沢山の味噌汁 ワカメを忘れずに。

そして

白菜の葉を数枚ザクザクと切り

塩で揉んで 漬物とした。

ちょっと疲れた時はバター味ではなく 醤油味が欲しい。

枇杷の木 「編集ども集まれ」藤野千夜著

枇杷の木の芽

枇杷を食べた後 土にバラバラと捨てた種が

毎年 芽を出しては消えを繰り返していた。

深い雪に押されて 枝が折れ 

そしていつの間になくなる。

そんな 私に見捨てられた木が

今年の少ない雪で持ち堪え 

花芽(多分)まで付いていた。

枇杷の花は 地味なアイボリー色だったと思う。

今朝気がついたが 

下の葉っぱがすでに鹿に食べられたいた。

果たして 花が咲くまで持ち堪えるか?

観察を続けよう。

 

「じい 散歩」藤野千夜著が面白かったので

同じく藤野千夜の「編集ども集まれ」を借りて読んだ。

藤野千夜の自伝的小説。

大学を卒業した後 主人公の「小笹」が

神田神保町の出版社に勤め 

漫画の編集者として働いた時の

社内の編集者達 漫画家とのエピソードが綴られる。

 

本半ば LGBTのTである事を

カミングアウトしたあたりから面白くなる。

 

時は1990年前後。

LGBTの知識 理解が今よりもっとない時代。

「小笹」から「笹子」になった主人公のめげない生き方

会社を退職させられた後の 

小説家として芥川賞を取るまでの

フィクションではあるが 半ばノンフィクションの

手塚治虫とコミックスを愛する作者の

「編集ども集まれ」

今日 図書館に返却した。

3月10日の3枚の写真

3月10日

明るく晴れた今日。

たっぷりと降った雪が光る。

紅空木(ベニウツギ)の枝に積もる雪。

 

馬酔木の蕾

京都では満開の馬酔木の花も

こちらではまだ米粒ほどの蕾だ。

 

凍った氷の滴り

小さな凍った露を覗く。

その中に在る逆転した世界。

 

春一番に咲く 青空色のオオイヌノフグリ

待ち侘びているのに まだ出てこない。

小さな希望

 

数日前 「小屋」のすぐ近くの所だが

初めて歩いてみた。

市バスが走っている県道から

山に向かってまっすぐの坂道。

そこは 道の両側は棚田で 

山の中だが 珍しく視界が広がっていた。

空が広い。

 

坂道を上ると 田んぼに山の水が張られ 

そこは池の様になっていた。

バタバタっと10数羽の黒い渡り鳥が飛び立ち

次の田んぼも その上の段の田んぼからも

バタバタっと大きな羽音を立てて 渡り鳥が飛び立った。

 

まだ 春には遠い 枯葉色の広い世界。

春一番に咲く 水色の花オオイヌノフグリさえ

まだ咲いていない。

 

帰り道から見た 向かいの山の稜線がいつもより低く感じ 

後1ヶ月もすれば あの山に白い拳の花が

そして 山桜の淡いピンクの花が咲くだろう。

小さな希望だ。

 

今日も冷たいシャワーの様な雨が 間隔をおいて降った。

 

ヤブコウジの赤い実と 薄緑の蕗の薹の天ぷら

                ヤブコウジ

 

降った雪が溶けて 冷たい雨が降って 寒い冬の逆戻り。

そこで見つけた 小さな赤い実。

その実は 雪の重さに耐えたそのままの姿で現れた。

ヤブコウジ

サクラソウ科なので 可愛い花をつけるが

私はまだそれに気づいた事がない。

 

「蕗のとうの天ぷらにするのに飽きた」

と前回の文に書いたら

「私は春に蕗の薹を食べるのは、待ち望むこと」

Mさんからコメントをいただいた。

そうかと 今日蕗のとうを天ぷらにした。

 

淡い緑の小さな芽は 寒さで少しも大きくならず

開いた大きめの花も そのままの姿で持ち堪えている。

小さいの 大きいのを12個摘んで

水溶き小麦粉をつけて揚げた。

軽く塩を振り 夕食の一品とした。

苦味と香りが こんなに美味しかったのか?

融雪の音と姿

 

予報通りに雪が降った。

20センチほど。

霙の様な水をたっぷりと含んだ重い雪。

 

そして今朝。

水琴窟の様な音が外から聴こえた。

いつものあれだ。

屋根から 雨のように滴る溶けた雪が

下のバケツの溜まった水に 落ちる音。

短い間隔で 激しく落ちる。

 

スマホで写真を撮る。

バースト機能で 水滴の落ちた瞬間をババババっと。

30枚ほど撮れたが どれも面白く

どんどん削除し 結局選んだ後に 

やっぱりあれの方が良かったか?と 迷う。

 

目で見ても記憶に残らない水の飛沫。

写真に撮れば それらは生き生きと踊り跳ねていた。