2018-03-01から1ヶ月間の記事一覧

山に咲く辛夷(こぶし)

三月が終わる。 でも春は今が盛り。 辛夷のオフホワイトの花が まだ芽吹かない樹々の間に ポツリポツリと咲いている。 春はいいなあ。 今日も強い冷たい風が吹き 首にマフラーを巻いたけど 山に咲く辛夷の姿はふんわり。 おやっ? 山の向こうから 久しぶりの…

八朔と山口百恵

柿色と山吹色のみかん。 木の鉢に山盛りにして テーブルの上に置いてある。 二つ、三つ手にとり 皮にナイフで切れ目を入れて剥き 果汁が滴る実を袋から丁寧に取り出し 薄緑の器に入れる。 テーブルの側を通るたび 摘んでは口に。 甘酸っぱい果汁と 弾ける実…

人工の杉と天然の杉

かつて 林業を生業としていた 山の中の村に住んでしばらく経った。 田や畑にまで杉が植えられたのは60年程前。 今 その杉が大きくなり 道路に暗い影を作る。 「しゅっとした男前」さんは 自他ともに認める山や樹を愛する人。 「後10年は山と戯れたい」と…

心が解かれていく

比良 山の それも川筋の すぐに日陰になる様な所に住んでいる。 山の向こうから 顔を出した太陽と月が 頭の上を移動する。 野鳥が 群れをなして樹々の間を飛び交う。 雪が溶けて暖かくなると 競う様に山や原っぱが賑やかになる。 自然の中に 浸る様に住むの…

気絶したヤマガラやミソサザイ

ドンという軽い音。 小さな野鳥が窓にぶつかり そばの棚に落ちていた。 細い足を 不自然に曲げて。 「ヤマガラだ・・・」 黒いくちばしにレンガ色の腹。 山の緑を映した大きな窓。 窓の中の山に向かって飛んで来た 慌て者のヤマガラ。 大丈夫、大丈夫だよ。 …

思想する人

気分がいい 実に。 青い空に白い雲が流れている。 葉っぱも出ていない 合歓の木が 枝を空に向けて広げている。 「気持ちがいいなぁ」なんて。 この豊かな眺めに色がなかったら? 白と黒の世界であったなら? 私の心を幸せにする事は出来ないだろう。 豪雨の…

茶色く変色したカリン

カリンの実 凍った冬がやっと去り 雪も溶けた。 ホントに もう冬はもどってこないんだろうね。 去年の秋に落ちたカリンの実。 長い間雪の下で眠りながら どんな夢を見ていたの? 熟した甘い香りに包まれて 雪の中でぼんやりと 枝から見上げた秋の空を思った…

舞い戻った冬

寒いなあ。 霙まじりの雨が横殴りに降った一日だった。 真冬よりも厚着をし 傘をさして表に出たが 山が雨で霞み 心まで冷たくなった。 クリスマスローズも 可愛いオフホワイトの頭を振り降り 健気な姿で舞い戻った冬に立ち向かう。 暗い夜になり ストーブに…

お墓参りと友達の個展へ

冷たい雨が降る日。 「この日しか空いていないぞ」と フード付きのコートを着て 昼過ぎから夫と一緒に 京都まで出かけた。 夫の両親のお墓参りと 友達の個展を覗きに。 雨の中でお墓に花を供え 手を合わすのもそこそこに 退散した。 「よく降りますね」 お墓…

ブルーの花に声をかける

やっと出て来たオオイヌノフグリ。 早い春に咲く花。 ケンジさんの畑にちらほらと。 淡いブルーの花びらが 今年は紫がかった色だ。 暖かい陽の光に誘われて 咲いてはみたが 冷たい雨に打たれて ブルブルと震えている。 「やあ それは私と一緒だよ」 首にぐる…

モチの木の薪

「薪用の木がありますよ」 という電話が来る。 夫は チェーンソーを軽トラに積んで いそいそと出かける。 今日貰ったのはモチノキ。 中が空洞になりかけている。 だから伐ってしまったのだと。 そんなの気にしない、気にしない。 2年後の寒い冬の日。 小屋…

顔を出した野薊

野薊 枯れたススキの葉っぱの間から 元気に顔を出した 野薊の娘。 「あーあ、よく眠った」 と 両手を上げて伸びをする。 細い茎のスミレの様に 風に吹かれて 倒れる様でもない。 冷たい雨や風に打たれて 太陽の光に晒されても びくともしない。 その上 イガ…

ぬくぬくのネコヤナギ

どんなに風が吹いたって 冷たい雨が降ったって 「ほら ぬくぬくの僕の衣を見て!」 と、自慢げなネコヤナギ。 山桜が咲く頃には 厚い衣を脱ぎ捨て 淡い緑の葉っぱの薄衣に変わる。 それはまるで 青年になる前の まだ首の細い少年の様だ。 一生のうちで 一番…

フキノトウの天ぷら

ポコポコ ポコポコ 淡い緑のフキノトウが出て来た。 暖かさとお陽様の光は大したものだ。 散歩の途中 ズボンのポケットに詰め込んで 持って帰った。 フキノトウ味噌は一回でいいだろう。 熱々のご飯との相性は大層よくて 食べ過ぎるのが良くない。 そこで 今…

川の流れる音

知っていますか? お陽様の光で暖かく 空は青く 風のない日の川の流れる音が とても軽やかなのを。 木琴の音のように コロンとかポコっとか言いながら 白い泡をたてて走り去る。 ピューっと小屋を叩き付けて 吹いていた冬の厳しい風。 ついこの間まで。 川の…

オーレンの花

オウレン(黄連) オウレン(黄連)の花が 春一番に咲くのを 忘れていたよ。 踏んでしまいそうな ひっそりと静かな花だ。 梅の花も オオイヌノフグリも 姿さえも見せていないのに。 乾燥した根を煎じると 良質の漢方薬に。 胃腸薬、精神安定剤。 コーヒーや…

NHKFM「夜のプレイリスト」 エルビス・プレスリー

深夜に聴くプレスリーは格別だ。 NHKFM「夜のプレイリスト」に 南伸坊が選んだ 若い頃から亡くなる前までの 「エルビス・プレスリー・ベスト」 若いプレスリーは 弾ける様な声で 「GIブルース」「ハウンド ドッグ」を歌い 40才のプレスリーは 野太い声で「…

フキノトウ味噌

やっと出て来たね! 淡い緑の衣の中から 小さな顔が私を見ている。 土の中に指を入れ 傷つかない様に 引き抜く。 香りまで苦い。 7、8個。 手のひらに載せ持ち帰り 先ずは フキノトウ味噌。 味噌、砂糖と酒を 照りが出るまで煮詰め そこに 湯がいたフキノ…

この風の強さはどうだ

よく晴れて 日差しも明るい日。 でも この風の強さはどうだ。 朝 太陽が山の上から顔を出すと 夜の間に降りていた霜が 煙の様に水蒸気を上げている。 山際の日陰から流れ出る伏流水が 長い氷柱になっていた。 カラスが鳴いて群れている。 「春が来た」と慌て…

「スペンサーの料理」 早川書房

1986年刊 1980年代の半ば。 私はアメリカのテレビドラマ「私立探偵スペンサー」を 深夜にドキドキウキウキしながら見ていた。 確か、ビデオもない時代だった。 ロバート・B・パーカーの探偵小説 「スペンサー」シリーズのドラマ化。 ハードボイルド…

杉のおひつ

杉のおひつ。 赤銅の輪っかで締めてある。 30年程前 姉にもらった。 炊きたてのご飯をおひつに移し しばらく使っていた。 束子で洗い よく乾かし 大切にしていたが 内側が黒くなってしまった。 しまい込んでいたそのおひつを 何十年振りかで出した。 焼い…

やる気満々の植物達

テレビの天気予報の 風向きを示す指紋の様な渦。 あれを見るとがっかりする。 又「数年に一度」の暴風雨か、と。 先週の暴風で タイチさんの屋根の瓦が大きく動いた。 さて そんな私の気持ちを笑うかの様に 黒文字の木の芽は はち切れそうで 植木鉢のクリス…

脚立もろとも落ちてしまった

今日のおやつ 昨日に続き 風の強い寒い一日だった。 表に出ると 耳まで痛い程の冷たい風。 鼻まで引き上げた ネックウォーマー。 湿った息で温かくなる。 建設中という程の物ではないが 小さな小屋の横のもっと小さな小屋に 一昨日今日と壁に断熱材を打ち付…

無駄な一日

暴風雨で 雨が横に降った。 春一番などと 風情を感じるどころではない。 5年程前から 雨も 雪も 風も 予期せぬ大荒れだ。 毎日 きれいな声で鳴いている おしゃべりなシジュウカラ。 こんな荒れた日は どうしているの? 私? 私は小さな小屋の中で なんだか…

粉末イーストでフランスパン

フランス人のポーリンが教えてくれた 天然酵母のパン。 その天然酵母は 強力粉、砂糖と少しの水で作る。 後は温度と時間が必要だ。 でも ポーリンの残していった酵母を使い切り 自分で作ると上手くいかない。 又 長年食べ慣れた 夫の作るホームベーカリーの…

川は軽やかに流れて

ひな祭りの三日の朝。 水たまりは凍って 植物の上には霜が降りた。 太陽が山の向こうから顔を出すと あちらこちらから 蒸気の白い靄が立った。 午前中に京都に出かけた夫。 山道の途中でスリップしたと 昼過ぎに帰宅するなり報告した。 「おお、恐ろしや」 …

気分は上々

木の板は 湿度の多い日は膨らみ 乾燥すると縮む。 息をしている木。 トントンと金づちで釘を打ち 畳で5枚程の小さな空間を 杉板で囲った。 縮んで隙間の出来た所に コーキング剤を絞り込む。 去年の秋から夫と始めた 小さな小屋の側の もっと小さな小屋。 …

魚を買いに小浜へ

福井 小浜港 魚を買いに福井の小浜港に行った。 うちから車で1時間。 ひたすら北に車を走らす。 朝、港に揚がった魚は 水産市場で発泡スチロールの箱売り。 目当ての鯖は 今日は売っていない。 大きなカレイが8匹。 1500円。 むつの厚い味醂干しが6切…