かつて
林業を生業としていた
山の中の村に住んでしばらく経った。
田や畑にまで杉が植えられたのは60年程前。
今
その杉が大きくなり
道路に暗い影を作る。
「しゅっとした男前」さんは
自他ともに認める山や樹を愛する人。
「後10年は山と戯れたい」と「男前」さんは言う。
余りにも古風な言い方に感動さえ覚え
そして
不真面目な私は心の中で吹き出した。
実に不真面目だ。
「栄養豊かな田や畑に植えられた人工林の杉は
根をしっかり張らずとも栄養が取れる。
だから
強い風に吹かれると
貧相な根っこをあらわにして倒れる。
山の岩盤に張り付いた様に立つ天然杉。
水や栄養を取ろうと一生懸命に根を伸ばし張る。
その根はしっかりと岩や土を掴み
少しの事では倒れない」
と「男前」さんの説明。
人も植物も生きる環境によって
逞しくもひ弱にもなるのは同じだ。
納得の立ち話。