1986年刊
1980年代の半ば。
私はアメリカのテレビドラマ「私立探偵スペンサー」を
深夜にドキドキウキウキしながら見ていた。
確か、ビデオもない時代だった。
ロバート・B・パーカーの探偵小説
「スペンサー」シリーズのドラマ化。
ハードボイルドの探偵のイメージ。
出がらしのコーヒーを
散らかった部屋で飲み
着古したコートを引っ掛けて
街に出て行く。
そんなイメージを払拭した
スペンサーの作る料理は
実質的で懐かしい家庭料理だ。
「田舎風パテ」「カボチャのスープ」
「鶏とマッシュルームのクリーム煮」
「フライド・グリーン・アップル」
「ホットビスケット」「ルーバーブパイ」
「ふすま入りパンのピーナッツバターサンドウィッチ」
等々 等々。
小説、ドラマの中でスペンサーの作る料理。
それを一冊の本にしたのが
「スペンサーの料理」だ。
何度となく読み返し
いつの間にか
私の料理になったものも幾つか。
舞台になっているボストンの描写
事件の謎解き
そして
スペンサーの作る料理が楽しみで
次々と小説を読んでいった。
30年程前の事だ。