林道の雪が消えたので
小屋の側の山に入ってみた。
雪の下で
何ヶ月も潜んでいた
冬の初めに散った
茶色の葉っぱ。
それらを踏みしめ
もう少し奥へ入ってみよう。
鹿の通り道の
崖が崩れた辺りを
明るい緑の蔓が
一面に這っている。
ヒカゲノカズラだ。
冬の名残が残る暗い林の中で
そこだけが
生き生きと明るい。
あっ オウレンの小さな花!
見逃してしまう所だった。
あまりにも
ひっそりとしているから。
シダの柔らかい葉っぱ。
くるりと巻いた
赤ん坊の手のひらの形。
春の気配の少ない
山の中の冷やりとした空気。
木々の間から見える空は
春の気配がしているのに。