ハンカチの木の実 コアジサイの枝

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ハンカチの木の実 コアジサイ

小屋の周りは 緑で埋まっている。

雨に打たれた木の枝は 重そうに下を向き

ヒメジョオンは 盛りが過ぎた。

 

床も 壁もしっとりと 

黴が生えるのは もう一息。

 

ハンカチの木の実は

この間 図書館の側で拾った。

アスファルトに転がっていた実。

それは つや消しの 渋い茶色だ。

 

コアジサイ

薄紫の小さな花は 初冬には

焦茶色に硬く乾く。

それを切って 捨てずに置いた。

 

それらを鉢と花器に入れた。

 

狭い「二坪小屋」の隅っこで

からりと乾いた実と枝。

雨の降る日々に とてもいい感じだ。

京都行き

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7月4日 京都 

 

友達の陶の個展の最終日。

京都に行った。

新コロナで迷った挙句の展示。

友達もお客もマスクをして

モゴモゴ話す。

「すごくいい」と 私が言うと

いつも通り 謙遜する。

 

久しぶりの京都の真ん中は 蒸し蒸しと暑い。

本屋も 画廊も かつてあったものが消え

特徴の無い町になる途中を見る思いだ。

 

帰り道

北に向いて走る車の助手席から

水蒸気にけむる北山が見える。

開け放った窓に飛び込んでくる

湿ったむっとする風。

 

平安神宮のそばを通る時

「あれが安室奈美恵のマンション」

と指差し 夫に言うと

「へえー」と気のない返事をした。

幸せな猫の話を読んだ

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用事があって 山を下る。

JRの駅界隈に行くまで

ずっと緑の山 田んぼ 広い川が続く。

広い緑の空間に 「ああ気持ちがいい。」

 

用事を次々と済ませ

最後は図書館に本の返却。

返却した本の中 一冊の雑誌に 

金井美恵子の面白い文があった。

 

猫の話。

 金井美恵子の「知人」の猫がある日いなくなった。

 数年後 

 「知人」が仕事先近くの寿司屋に入ると猫がいた。

 寿司屋の店に猫とは 

 そんな事が気にならない客ばかりなのだろう

 と 「知人」は思った。

 

 その猫は人懐こく「知人」の足に擦り付き

 尻尾を絡めて来る。

 

 ふっと

「この猫はいなくなったうちの猫ではないのか?」         

 と「知人」は思った。

 その猫の持つ特徴を調べると 

 なんとそれはいなくなった猫だった。

 

 多分 家の近くのバス停からバスに乗り

 降りた所で いい匂いのする寿司屋があった

 と「知人」は推測した。

 

 数年間 いい所で可愛がってもらい

 そして数年後 飼い主の「知人」の元に帰ってきた。

 今も 呑気に幸せに暮らしている。

と 大体がこんな話だ。

 

これは忘れられない話になりそうだ。

「落石注意」 ヒルに注意!

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「落石注意」と大きく書かれたもの

そして 黄色の地に黒で

石が転がり落ちているのが描かれたもの。

 

そんな交通看板が 細い山道に

いくつも立っている。

 

いつ上から

転げ落ちてくるか分からない石に 

注意するのは無理だ。

 

霧雨が降る今日の午後

その看板の先に

たわわに実った木苺。

 

一つ 二つと

摘んでは袋に入れた。

 

小屋に帰り 雨に濡れた靴が重い。

そして 案の定 

黒いヒルが私の右腕に這っていた。

 

細い薪で下に落とし バシッと退治した。

慣れたものだ。

撫子(ナデシコ)の花

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撫子(ナデシコ

濃いピンクのナデシコの花。

一株掘り出して貰った。

 

こんな風に 小屋の周りの花は

野草か 貰った花ばかり。

 

道路側のビオラのそばに植えた。

 

ビオラはどんどん伸びて

小さな花を沢山つけている。

その横にちょこんと座っているナデシコ

いかにも少女という風情だ。

 

夜の間の雨に打たれて

しっかりと上を向き 根を張った。

 

京都四条河原町の「河原書房

買った時に入れて貰える紙袋に

薄墨色で ナデシコが描かれている。

大好きだった。

 

その店も 小さなビルになり

本屋は2階に移ってしまった。

 

ナデシコは撫子。

漢字も少女のようだ。

枇杷(びわ)

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時々

友達がくれるビワの実は

不揃いで 傷がある。

それを

水でざぶざぶ洗い

指で皮を剥き齧る。

酸味のある甘い果汁で 指が濡れる。

 

艶々とした明るい茶色の種が

小鉢の中に貯まる。

土に蒔いた沢山の種は

二つ三つと芽を出し 

すくっと伸びて葉をつけるのだ。

 

雪に埋もれ 曲がった枝の

ビワの細い木。

 

実をつけない木は

今年もひょろりとした姿で

大きな葉をつけ 風に揺れる。

 

小屋のそばに居場所を見つけたビワ。

枇杷」と書く字も 私は好きだ。

ドキュメンタリー映画 「日常対話」

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2016年製作 

 

1978年生まれの台湾の女性監督ホアン・フイチェン

同性愛者の母親を撮ったドキュメンタリー

プロデューサーは台湾を代表する監督ホウ・シャオシェン

 

2019年 

アジアで初めて同性婚が合法化された台湾

だが

1950年台の台湾の農村は 父親を中心とした

「家」の制度が支配する保守的な社会だった。

 

母アヌは親の勧める男性と結婚

しかし 夫は博徒で酒乱のDV男だった。

ある日 母は娘二人を連れ家を出る。

 

この映画の監督である長女は

学校へも行かず母親の仕事

「死者の霊を鎮める道士」の手伝いをして大きくなる。

 

同性愛者の母の人生を知りたい

自分は母に愛されていたのか

それがこの映画を撮る原点だ。

 

カメラの前に母は

ポツリポツリと自分の事を話し始める。

そして

監督である娘も辛い過去を告白する。

 

 映画を見ていない私だが

キネマ旬報」の記事と短い予告編だけで

素直に心打たれた。

 

「日常対話」は母と娘の「和解」の物語だ。

 

2021年 7月  31日(土)

ポレポレ東中野にて ロードショー

www.youtube.com