地域振興券で鰻 再び

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ひつまむし 2021.6.28

一月程前

突然郵便で送られてきた「地域振興券

 

防災無線でのお知らせがあったのかどうか

それは 定かではないが

去年に続いての 一人 ¥5000の振興券。

大きなスーパーやホームセンターでは使えない。

地域の個人商店を応援するための代替通貨だ。

 

それではと 夕方に車で1時間ほど走り

代わり映えはしないが 鰻を食べに行った。

 

まさか 琵琶湖の鰻ではないだろう。

でも 明らかに京都や大阪の鰻とは違う。

身は薄く締まり 皮は柔らかく

焼きは香ばしい。

 

私がなぜ ひつまむしを食べるのか?

それは わさびにある。

わずかにたれが染みたご飯に刻み海苔。

その上に 香ばしい鰻。

わさびと刻みネギを混ぜて

口に運ぶ幸せ。

 

三通りの食べ方を「強要」されるひつまむし。

面倒だなと思うが 美味しさに負け

その通りに食べるのが通常だ。

 

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鰻屋の前の通り 午後6時ごろ

地域振興券と小銭で支払いをし

表に出ると 西の空が微かに茜色に染まる。

 

集落の人たちが「町」と言う鰻屋の辺り。

夕方ともなれば 人影も車もなく

閑散としている。

 

琵琶湖沿いの「町」から「山」へ

帰り着いたのは 午後7時過ぎ。

まだ 辺りはぼんやりと明るかった。

 

ururundo.hatenablog.com

ザムザとムカデ

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Google画像より  八木一夫作 「ザムザ氏の散歩」

半月ほど前の深夜

眠っている時に 目の辺りに違和感を感じた。

手のひらで払うと 何者かがTシャツの中 

胸のあたりで動いている。

襟を掴んで中を覗くと

ムカデが胸の上でくねくねと

蠢いているではないか!

 

「ギャー」

叫び声と同時に無意識に

ムカデを床に投げつけていた。

 

靴の底で叩いて殺した。

 

それから たびたび

大きいのやら 小さいのやらが

出没し その度に薪や靴で殺した。

そして

殺虫剤を床の周りに吹きつけた。

 

カフカの「化身」で

朝目覚めると巨大な虫になっていた

ザムザ氏。

 

何も知らない父親から 気味が悪いと物を投げられ

それで 心も体も 傷つく。

 

息子の部屋のドアを開けると

巨大な虫が這い寄ってくる。

父親も どんなに驚いた事だろう。

 

ムカデを薪や靴で叩きながら

虫になってしまった ザムザ氏が

頭に浮かんだ。

 

今年は山の中にムカデが多いと

山仕事をしている「弟君」が言った。

私もこんな経験は初めてだ。

 

Amazonで白の布団カバーと

白のベッドカバーを買った。

ムカデがいるとすぐわかる様に。

 

早く平穏な日常が戻ってく欲しい。

明るい空とも しばらくの別れ

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夕方 メルカリに本を出品した。

数ヶ月前に写真に撮った50冊ほどの本達

その中から 2冊を選んだ。

 

細かく説明を記し 価格を決める。

長い間手元にあった本を 

リサイクル場に持って行くには忍びない。

誰かが気に入って 読んでもらえたら嬉しい。

「捨てたいのか? それとも勿体無いのか?」

と ややこしい気分だ。

 

午後から小雨が降り出した。

霧の様な雨だ。

明日から 又雨の日が続くと

ニュースの天気予報で言っていた。

 

明るい空ともしばらくの別れだ。

メロン練乳ゼリー

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メロン練乳ゼリー

 

オチヨさんの妹はキンさん。

お千代と金

縁起のいい名前だ。

95歳と92歳の姉妹は

JAの販売車で巻き寿司やおやつを買う。

 

二人のお楽しみのおやつが

時々私にも回ってくる。

 

雪印の6Pチーズをパクリパクリと

食べるキンさん。

元気はこんな食生活からか。

私も朝にチーズを食べないと。

 

貰った「メロン練乳ゼリー」

それはこんにゃくゼリーと同じ

小さな器に入っている。

 

白の皿に ゼリーが4個。

スプーンで掬って

さあ 食べよう。

森茉莉の染み

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20代の頃

私は森茉莉の本を何冊何冊も 熱心に読んでいた。

 

森茉莉の書く 森茉莉の生活。

10代に行ったベニスの運河の色を

コカコーラのガラス瓶の色であったと話したり

風呂もないアパートの 狭い一部屋でする料理の

目玉焼やオムレツでさえも 

その色や 味を語る「贅沢貧乏」

 

森鴎外の娘として生まれ

良いものを沢山見て育ち

独特の審美眼を身につけた

変な少女の様なおばあさん。

 

今日 私は

冷蔵庫に残っていた茄子を素揚げした。

それに辛子醤油をかける。

それを見ながら 色を 醤油との相性を

頭の中で思っている自分に気がつく。

 

引っ越しの慌ただしさの中で

無くしてしまった森茉莉の本。

 

でも 二十歳の私に染み付いた森茉莉

簡単には消えないほどの

シミとして残ってしまった。

アザミは薊 

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花瓶に生けようと ハサミを持ち 

すっと伸びた茎を

用心深く 慌てずに切る。

 

そうしないと

棘のある葉で 手のひらや腕に

傷をつける。

それが あざみの花だ。

 

暗いピンク色の糸の様な花びらと

深い緑の葉。

勝ち気な姿で あちらこちらに

当たり前に咲いている。

 

切り取ったアザミをひと茎

白の花瓶に。

 

周りの空気が深とするのは

気のせいか?

 

アザミは薊。

字までがどこか勝ち気だ。

木苺の夢

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夕方

歩きながら摘み取った木苺を

パラパラっと 琺瑯の皿に放った時の

その姿の美しさを 写真に撮った。

 

手のひらに載せ 持ち帰った木苺は

それだけで 傷みそうな程繊細だ。

 

ガラスの瓶にそれを入れ

冷凍庫のドアを閉める。

 

ジャムになるまでの間

冷たく暗い冷凍庫で

山桑や木苺 黒すぐりの実は

どんな夢を見るのだろう。

 

鳥と分かち合う木苺の実。

それは 

鳥の思い出を聞くようだ。