山から
久しぶりに聞こえてくる
トラツグミの鳴き声。
「ヒョーーー ヒョーーー」でもない
「ヒーーー ヒーーー」でもない。
ウグイスのように
口笛で物真似が出来ない。
切ない切ない 寂しい声だ。
自然が近くに感じられた時代
ヨタカと共に
トラツグミも夜に鳴いて
その哀しい声で
人間を怖がらせた。
古典文学には
京の街の夜に現れる妖怪だと
鵺(ヌエ)という名で登場している。
平安時代の京の暗い夜に
百鬼夜行がばっこする。
そんなイメージが
浮かんでくるではないか。