本「余白の芸術」 李禹煥(リ・ウファン)著 みすず書房

 

およそ半世紀前

私はリ・ウファンの版画を初めて見た。

紙に 水色の円が六つ

ぐるりと刷毛で描かれていた。

シルクスクリーンかリトグラフなのか 朧げな記憶だ。

 

それは現代美術の画廊が閉館になる時に

知人が買ったリ・ウファンの版画。

私はそれが余程欲しかったのか

以来 リ・ウファンの作品に出会うたび

その版画を思い出す。

 

数週間前に 「余白の芸術」」を図書館で借りた。

ハードカバーの400ページの本。

リ・ウファンの鉄板と自然石の作品の 余白の芸術

さまざまな作家 芸術の領分 新しい表現

ものと言葉について語っている。

これは手元に置きたいと購入した。

 

例えば22ページの文。

『砂漠』

「私は砂漠に

数個の欠けた石柱が立っている光景が好きだ。

消し去ろうとする力と、立ち続けようとする力の

張り合いが見えるからだ。

この張り合いの中に時間の姿がある。

砂漠が大きな見える場所となるのは 

こうした痕跡、破片によってである。」

 

私の住んでいる集落の桜は散り始め

花びらが強い風に吹かれて

小屋」の周りにたまっている。

色々な花が咲き 木の萌える新芽が輝いている。

まだ寒いけれど 春の景色だ。