(ヤマネ)
天然記念物の、森の妖精「ヤマネ」が
私の仕事場にいるなんて!
2年前の冬の事だ。
梱包用のウレタンシートを入れた箱に
そのヤマネが冬眠していた。
手のひらに乗る位の小ささ。
尻尾を後ろ足の間に巻き込み
長いひげに、小さな小さな鼻の穴。
ツンツンと突くと
小さな口をゆっくりと開けて
「むにゅむにゅ、ふあ〜」とあくびをした。
小さな箱に
引っ越しをしてもらって
棚の上に。
暖かくなって
その箱をのぞいたら
もういなかった。
「こんなむさ苦しい所に
よくぞ来て下さいました。
すぐ近くの樹の上で
私を見てるんでしょ?」