いつも最後の田植えが この田んぼ。
あちらこちらに散らばる この家の田は
田植え機を使えば 一人ですぐに終わる。
山の中の狭い地の田は 規模の小さな棚田だ。
毎年 南からやってくる燕の群れを
私はまだ見ない。
スーイスイと飛ぶ燕。
小さい体なのに 何千キロも飛ぶ力と強靭な意志。
「頭が下がる」
冗談ではない、本当にそう思うのだ。
山から湧く冷たい水を湛えた田んぼに
青空の日は 青い空が映り
そこを白い雲が流れる。
今日は 長くて細い足のアメンボが
スイスイと泳いでいた。
黄色の稲穂が垂れるのも あっという間だ。
私の気持ちが焦る。
過ぎ去る時の速さ。
毎年追い越されて
その後を息切れしながら走る 私だ。