ベニウツギ(紅空木)の枯れた実と新芽

ベニウツギ(谷ウツギ)の枯れた実と新芽

雪の上の動物の足跡 山林に落ちている鹿の角

野鳥の巣 盛りを過ぎた枯れた花 等々

街に住んでいたら 見る事のない物たち。

 

今日 

私はベニウツギの枯れた実と

同じ幹から派生した枝に

今か今かと広がるのを待っている

膨れた新芽に気が付いた。

 

行儀の悪い枝ぶりは

持ち帰ろうという気にはならないが

その枝にしっかりと掴まった黒い枯れた実は

いつ見ても 心惹かれる。

 

膨れた新芽。

それが開くのはいつ?

ピンクの花房が重く垂れ下がるのはいつ?

そして その花の蜜を探して 

花に顔を埋める蜜蜂が飛ぶのはいつ?

 

私の気配を感じて 川から飛び立つ鴨たち。

冬の間 川にやってくる数羽の鴨。

今日も元気だった。

節分の名残り

 

トミコさんの家の軒下の 節分の名残り。

軒下の榧(かや)の小枝を見た私は

イワシはどうしたん?」と訊いた。

「すぐに食うた」と笑う。

 

トミコさんの家は分かっているだけで築400年。

丹色に塗られた木の板に 

地味な常緑樹の緑が美しい。

沢山の漬物をもらって帰った。

 

昨日の雪が夢のような

青空と明るい光に溢れた1日だった。

真っ青な空に白い雲が浮かび

風の吹かない日 それらの雲は

ゆっくりゆっくりと流れて行った。

 

夕方 2時間 せっせと雪掻きをした。

ダウンのジャケットを脱ぎ

薄いフリースを着て

谷と小屋の周りを往復した。

7800歩余り。

レモンを絞り 熱湯を注ぎ飲んだ。

湯気にレモンの香りがした。 

思っていたより深い雪

 

目覚めると 思っていたより深い雪だった。

まだ 暗いうちから

除雪ブルドーザーがやって来た。

私が気が付いただけでも

今日は4回の除雪があった。

 

屋根の上の雪は40センチほど。

車の上の雪を降ろして 後は明日に残した。

 

1月の雪とは 私の中で違って感じる。

もう少しで三月だ もう春なのだ

この雪の下では 草の芽が今か今かと待っている

という 違いだ。

 

雪をてっぺんに載せた車が 時々走り去る。

そのタイヤの音を小屋の中で聞きながら

体も心も持て余し 窓のそばに立ちながら

外の吹雪く雪を見ている。

春の兆しはまだ?

                 午後4時半

 

今日の気温は少し高めで

少し前なら雪になったであろう雨が

一日中降っていた。

 

小屋の中では ストーブに薪を燃やし

窓の内側は 露で濡れた。

その窓から見える 外の景色の白が

露の模様で歪んで見えて 面白いなと思った。

 

外に出ると 川にいる鴨の家族が

私の気配を感じて 大袈裟にバタバタと飛び立った。

川面を カワガラスが ビービーと通り過ぎ

頭上では シジュウカラが飽きもせずに

「怪しい奴がいるぞ」と

仲間に私の事を鳴いて知らせた。

 

ダウンのジャケットから

薄いライトダウンに着替えたが

こちらの天気予報では 雪のマーク。

もうそろそろ 春の兆しが見えてもいい頃だ。

安価な黒い靴

 

雪は一段落。

雨が冷たい日で 明るい内に帰ろうと

昼前に山を下り 買い物に出かけた。

 

今日 靴を衝動買いした。

ホームセンター「コメリ」でセール中の

黒いポリエステル生地のフカフカした

軽い 履いたり脱いだりが実に簡単な靴だ。

 

私が二週間に一回行く図書館

定期検診で行く 歯科 眼科 

週に一回行く集会所

予防接種に行く診療所

その他あちらこちらは土足厳禁。

靴からスリッパに履き替える。

 

私の普段の靴 外出時の靴

夏以外は 皮の編み上げ靴で

脱いだり履いたりするのが実に面倒だ。

 

かつて中国の人達がよく履いていた様な黒の靴。

その靴が スリッパに履き替える時の

面倒さから解放してくれる。

 

980円の衝動買いと言うには安価な靴。

いつまで保つか分からないが

今は一つの問題を解決した気分がする。

signという言葉

16日 午後5時 

朝 小屋のドアを開けると

すぐそばに ずっと続いている動物の足跡。

狐か狸か?

朝日に照らされ キラキラと煌めいていた足跡。

夕方になっても その足跡の他には 雪の上についていない。

 

明日 目が覚めて ドアを開けたら

どんな足跡の模様がついているのか。

 

暗い夜の小屋の中の私に 足跡で気配だけを残す。

signという言葉が浮かんだ。

「君たちは強いな」

              15日 午後3時

 

山法師の植っている植木鉢に

昨晩から降り続く雪がぽっこりと積もり

それが とてもかわいい。

 

強い北風が吹いて 雪が横に流れ 

見ているだけで「おお 寒い」と声が出る。

 

深い緑のダウンジャンパーと 深い緑の毛糸の帽子

鼻の辺りまで覆っている 深い緑のネックウォーマー。

まるで私は 山の中の何かの生物みたいに見えないか?

 

新しい雪の上に無数の動物の足跡。

雪の中を飛ぶ様に歩き

お腹を満たすものが見つかったのか。

「君たちは強いな」

ジャンパーのポケットに 手のひらを突っ込み

山の中の生物のような私は 

心の中で 頑張る動物たちにそう伝える。