茨の赤い実

茨の実

茨(いばら)は野薔薇の事だ。

その茨の 若い柔らかな葉っぱにつく

アリマキが今年は本当に少なかった。

そのせいか 初夏に小さな淡いピンクや

白い花が 沢山咲いた。

 

その花が散り 秋になり

今は 小屋のそばに赤い実をつけている。

 

山の中の赤い実も 街の街路樹の赤い実も

気がつけば 私は上を向き 赤い実を愛でている。

 

この赤い実を 鳥が食べてしまわなければ

枝をハサミで切り 紐で束ね

枯れた花のコレクションに加えよう。

 

冬の雪の日

花もない日々に 壁にこの赤い実を吊るし

長い冬を共に過ごしたい。

明日から雨だとニュースで言う

陶 木の実 ドライフラワー

しばらくいいお天気が続いた。

明日から数日 雨が降るとニュースで伝える。

こうやって 秋は深まっていくのだな。

 

秋の虫の鳴き声が 少し大人しくなったと

感じるのは気のせいか。

 

小屋の周りの散らかりようが

気になって仕方がないのも 秋のせいか。

雨が通り過ぎたら すっきりと片付けよう。

 

夏の白い木綿のカーテンが 

弱い光を浴びて 草臥れたように感じる。

 

ヴァーモントで買ってきた シェーカーの木の鉢。

そこに盛られた 小さなみかんの黄色で

テーブルの上がポッと明るい。

 

いつも 朝に飲む紅茶を 今日は昼間にも飲んだ。

カップにミルクを入れ その上に熱々の紅茶を注ぐ。

ポットの口からほとばしる 赤茶色の液体。

大きなカップで飲んだ。

そして

ちょっと 疲れているかなと思った。

感動を分かち合いたい時

 

広大な景色を前にして

その景色が夕焼けに染まった時とか

心打たれた映画を観 映画館を出て

その感動を誰かに話したい時とか

そんな時は誰にでもあるだろう。

そして そばに誰もいないを悔しく思う。

 

今日の秋の空は まさしくそんな時だった。

「ほらほら あの雲を見て!」と誰かに言いたい。

 

真綿を薄く伸ばしたような雲が

頭上に広がり 気持ちよさそうに

少しずつ形を変えて行く。

 

 

夕焼け空の羊雲。

淡いパステルカラーのグラデーション。

見ている間に形を変える雲の姿を

早く撮らねばと ズボンのポケットからスマホを出し

電線が入り込まないように 2枚撮った。

 

近い未来に 月や火星に住む時が来るとしても

「地球ほど美しい星は まあないよね」

と これも誰かと話したい事だ。

災害避難所の話

災害避難所の学舎から

私の住んでいる所は

山の中を一本の川が流れ

その川に沿って 集落が点々と在る。

 

車の道路が出来たのは 

不確かな情報だが60年ほど前。

それまでは山の中の細い道だけの時代が

延々と続いていた。

 

そして 茅葺屋根の(今は新建材で覆われているが)

築400年の家が 珍しくもなく存在している。

 

昨今の気候変動で

豪雨 巨大台風 川の氾濫 土砂災害が

日本中のあちらこちらで起きているが

この村も同じだ。

 

台風や豪雨のたびに 

避難所へ避難を促す防災無線放送がある。

行くのは夫と私だけで 村の人に笑われている。

荷物をまとめ 気軽に行く。

何も被害がなければそれでよしと思う。

 

村に京都の大学の学舎がある。

鉄筋コンクリートのその学舎が

この辺りの避難所になったのは 数年前らしい。

誰も知らない。

 

今日 そこで避難する大事さを話す会があった。

大きく 頑丈な家とはいえ 今は気候が変わったのだ。

大雨 強風で いつ山が崩れるか

いつ 川が増水し村を襲うか。

私よりもまだ年上のネイティブの人達に 

それが伝わっただろうか。

 

今日も明るい秋の日だった。

学舎を出て周りの山を撮った。

半ば逆光で 暗く写った。

かわいい どんぐりの実 

 

アスファルト道路の上

緑と茶色のどんぐりの実が散らばっている。

それはまるで 選んで並べたかの様だ。

その間に 私は可愛いどんぐりの帽子を置いた。

 

道路脇に 間隔をおいて立っているどんぐりの木々。

その下を歩くと 霰おかきを踏むような

軽い 弾ける音がした。

 

朝から 強い北風で

白い雲が 北から南へと流れ去る。

山の人工林の杉や 広葉樹の木々が

風に吹かれて 枝をしならせていた。

 

フリースを着るような今日

半袖を着て 汗をかくような日。

こんな日々が繰り返されて行くのだと

ニュースの天気予報で言っていた。

ヨーグルトケーキ

 

甘いものが欲しいと思った時

買いに行くには 近くのコンビニでも

車で片道30分。

面倒だなと思っても 家で作ることになる。

 

夕ご飯と並行して作るので

簡単に美味しく出来なくてはならない。

小麦粉も砂糖も 計量カップで計る。

 

そんなケーキの一つが「ヨーグルトケーキ」だ。

 

ヨーグルトがたっぷりで

焼き上がりはチーズケーキかういろうのよう。

今日は 手元にある早生みかんを乗せた。

果物は何でもいいし なくてもいい。

 

ちょっと酸っぱくて 甘い。

こんがりと茶色に焼けた面が 美味しそうだ。

 

『ヨーグルトケーキ』

  • 卵     3個
  • 小麦粉   1カップ
  • ヨーグルト 1カップ 
  • 砂糖    1カップ
  • 食用油     1/2カップ
  • ベーキングパウダー 小さじ1
  • レモン果汁 
  • 塩 ひとつまみ

  全部混ぜるだけ

  

  焼き皿に油を引き 小麦粉をはたいておく

  190度で40分焼く

ほうじ茶は熱いのを飲み始めた

 

午前中は 雨が降っていた。

ストーブに薪をくべたら 小屋の中は暖かく

外に出ると 身震いをするのに驚いた。

 

雨が止んだ後の 私の収穫。

それは 青い毬栗 栃の小さな実

小さな松ぼっくり 茨の赤い実 どんぐりの枯葉。

 

雨で濡れた小さな松ぼっくり

まだ緑が残る。

茨の実が もっと赤くなれば

鳥はちゃんとそれを見ている。

 

まだまだ山は緑で 風の冷たさだけは秋で

いつの間にか ほうじ茶は熱いのを飲み

窓のカーテンは まだ白の木綿の夏のままだ。