ラクダの鈴

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ラクダの鈴

 

窓から吹き込む強い風で

カーテンが膨らんではためき

吊り戸棚に留めた

錆びた薄い鉄板の ラクダの鈴が

低い 優しい音色で

カラン カランと鳴る。

 

シルクロードを行く隊商の

長い列を組んで 荷物を運ぶラクダに

付けられた鈴だ。

 

今はもう色褪せてしまったが

五色の糸で編まれた紐に 5個の鈴。

 

25歳の私が

京都祇園石段下にあった

間口の狭いエスニックショップで

衝動買いした鈴。

 

小屋の隅っこに ひっそりと。

風の吹く日にだけ

存在を知らせる。

 

風の声を聞いている様な

とてもいい音色だ。

白い秋の花 オトコエシ(男郎花)

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オトコエシ(男郎花)

秋の七草の一つ

黄色の花をつけているのは

オミナエシ(女郎花)。

 

真っ直ぐの茎に

粟粒の様な白い小さな花を付けているのが

 オトコエシ(男郎花)。

 

この花の名前をどれだけの人が

知っているだろうか。

 

清々しい色と すくっとした姿。

 

草刈り途中に 草刈機で

あっという間に 切ってしまった

濃い緑の葉の 白い花。

 

「これは大変だ」

と 慌てて 花瓶に投げ入れた。

 

変な名前だが

姿は正統派の美しさ。

 

急に咲き始めた 秋の花達。

太陽の動きと共に 生きている様だ。

 

漢方薬の野草 ゲンノショウコ 

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ゲンノショウコ

 

白の5枚の花びら

薄紫のしべ。

濃いピンクの花も咲く。

 

繁殖力が強く

放っておけば一面の

可愛い花の原っぱになる。

 

葉や茎を刈り取り

よく乾かして 煎じる。

胃腸薬などよく知られた漢方薬だ。

 

せっせ せっせと刈り

天日でよく乾かし

屋根裏にずらりと吊るして保存する。

山里のかつての人達は

これで安心だと 一息ついた。

 

ドクダミは十薬

センブリは胃腸薬

そして ゲンノショウコ

共にとても美しい花を咲かせる。

 

白い清楚な花のドクダミ茶 十薬。

大きなヤカンにたっぷりと作り

畑仕事の合間の一服に

ゴクリゴクリと飲む

かつての人達の寛ぐ姿を

幸せだと思う。

 

今は無くなってしまった

ほんの少し前の田舎の姿だ。

白い野の百合

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集落のあちらこちらに

白い百合の花が群れて咲いている。

 

太い一本の茎から

幾つもの花をつけたのもあれば

風が吹けば すぐに倒れそうな

細い茎の 小さな花まで。

 

広い原っぱに

ピンクのゲンノショウコと競う

白い百合の花の群れ。

しばし立ち止まり 

その美しさを心におさめる。

 

10日ほどの華やかな生を

暑い日差しの下

今が盛りと揺れている。

 

秋の虫が鳴き

月が柔らかな光を地上に注ぎ

冷たい夜露が白百合に落ちる夜。

 

涼しい空気が 窓から吹き込む朝の

その気持ち良さを待ちながら

さあ 今夜はこれで終わりだ。

気持ちのいい雨だった

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午後6時

 

久しぶりのいい雨だった。

 

目覚めた頃から 夕方まで。

シャワーの様な 気持ちのいい雨。

 

元気なく 下を向いたり

枯れかけていた 草花や

色褪せていた 木の葉。

たっぷりの雨に洗われ

「おう すっきりした」

と 喜びの声。

 

雨の止んだ夕方に

山を駆け上る 白い靄。

流れながら 姿を変える雲の群れ。

 

明日は

小屋の周りの草を抜こう。

雨を含んだ土は

気持ちよく草の根を放してくれる筈だ。

ブドウからシルクロードに思いを馳せる

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送られてきた 沢山のぶどう。

ざぶざぶと洗い

ガラスの鉢に入れた一人分。

 

薄紫の大きな粒

若緑の茎の瑞々しさ。

 

口に放り込んだ実の

豊かな甘さは言うまでもない。

 

ギリシャ料理ドルマスは

ぶどうの葉でひき肉を包んだ

ロールキャベツの様な料理だ。

 

秋になり 涼しくなれば

たっぷりの挽肉を包んだ

ロールキャベツを作ろう。

鍋から立ち昇る湯気さえもが

御馳走の温かいおかず。

 

私の頭の中は すでにシルクロードへと。

平和であった頃のアフガニスタン

新疆ウイグル自治区トルファン

明るいブドウ棚の下で 寛ぐ人達。

 

そして

シルクロードを辿り

日本にやって来た葡萄文様は

エキゾチックな外国の文様。

 

表の椅子に座り

ブドウを一粒 一粒食べながら

頭をめぐるギリシャからシルクロード

 

送って下さる方に感謝だ。

ぴょんと飛び跳ねる鮎

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昨日

クマツヅラの花に気がついたのは

道路に沿って流れる川を見ていた時だ。

 

その川の中から

ぴょんと飛び跳ねる鮎。

それが何回も繰り返される。

 

川の中では

キラキラと日の光を反射させて

動いている鮎の群れ。

 

捕虫網で さっと掬えば

沢山の鮎が取れる筈だ。

 

釣り人がいつになく多いのは

この鮎の多さだった。

 

川の中に立ち

じっと釣り糸を垂れる人達を見ると

もう夏も終わりに近いのだと思う。

 

8月まで あっという間だった。

時の歩みがとても速い年だ。