強い北風で
雪が斜めに叩きつけられる様に降る。
とても 表に出られない。
断続的に降ったり 止んだり。
除雪車が朝方に通った。
大きな音を立てて
小屋の前を過ぎる。
夜には
屋根から 雪が滑り落ちる。
地震の様な音と響き。
1週間前には
杉の葉にたっぷりとついた花粉が
風に吹かれて飛んでいたのに。
「暑さ寒さも彼岸まで」と言うが
最近の気候は とても手強い。
アップルパイは特別なおやつだ。
なんと言っても
パイ皮のサクサクとした食感。
バターの香しさ。
これを求めるには
どうしても 家で作るしかない。
自分風に作っていると
オリジナルのレシピに
狂いが来る。
初めて焼いたアップルパイレシピ。
それに戻してみた。
本間三千代さんのレシピだ。
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「ホームメイドのお菓子」
本間三千代 著
昭和50年 文化出版局 発行
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なんと 昭和50年から
私はこの本を読んでいたのか。
パイ皮を伸ばし
耐熱皿に敷き
シナモンの香りたっぷりのりんごを入れ
パイ皮で蓋をする。
その残ったり 切り落としのパイ皮。
それを 長方形に伸ばし
りんごを載せて クルクルと巻く。
3個出来た。
卵の黄身を塗って 一緒に焼いた。
これが又 美味しい。
オーブンで焼いている時の
小屋に充満する 贅沢なバターの香り。
焼き上がりを食卓の上に。
明日のおやつ コーヒーと共に。
新書版サイズ位の緑の本。
麻布の表紙だ。
水に濡れた跡がある。
本棚の隅に隠れた様に立っていた。
表紙を開ける。
「アルプスの少女 ハイジ」が成長し
娘になった頃の話だ。
額縁の様にページを囲む
植物の絵の なんと魅力的な事か。
長い序文の最後のページ。
釣鐘草の絵。
これを描いている時の
紙に当たるペンの感触が
私に伝わってくる。
一章ごとに描かれた
19のイラストレーション。
素朴なペン画がとても楽しい。
「休暇の終わり」の章の絵。
後方にそびえる三角形の山は
マッターホルンだろう。
教会 煙突のある小屋
手を振る訪問者。
長閑で平和な世界。
調べてみた。
「Heidi Grows Up」は
ハイジの作者スピリの死後
30年目の1938年に
スピリの英語とフランス語の翻訳者
チャールズ・トリットンによって書かれた。
パリ ニューヨークで出版された。
「序文。
デイビッド・コッパーフィールド
ダルタニアン アイバンホー
アリス ハンス・ブリンカー
ジム・ホーキンスの様に
ハイジは世界中の その時代の子供達の
宝となった。」と トリットンは記す。
この緑の本は イギリスで出版。
1952年に第1刷
1953年に第3刷と
本に記されている。
この本の持ち主は誰か?
多分 夫の母だろう。
成長した「アルプスの少女ハイジ」物語。
小さくて軽く易しい英語で書かれたこの本は
寝る前に 布団の中で読むのにいい。
よくも捨てられずに本棚の片隅で
ひっそりと鳴りを潜めていたものだ。