朝日にキラキラ

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午前9時

 

数日前に降った雪はまだ溶けず。

朝日にキラキラ キラキラと輝き

歩くとバリバリと凍った音がする。

 

一日中冷たい風と空気。

ネックウォーマーを鼻まで引き上げ

用事でチエコさんの家へ。

油断をするとツルっと滑る。

 

リンゴ三個を縦に八つ切り。

皮を剥き 鍋に並べ 砂糖を振りかける。

レーズンとシナモンもたっぷりと。

少しの水を加えて鍋で煮る。

 

水気が無くなるとリンゴに透明感が出る。

 

甘いリンゴの香り

シナモンの香り。

 

芳ばしいほうじ茶と共に

おやつに食べた。

林業を生業とする村

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午後4時30分

 

林業を生業としている人達は

どこの国でも同じ事をしているのだ。

「メインの森」(ソロー著)を

読んだ時そう思った。

 

19世紀 アメリカメイン州

ソローがメイン州の川に沿って

奥へ奥へと旅をする。

 

その時にソローが聞いた話。

 

切った木を町へ運ぶ手段は川。

川の水が増える厳寒の冬に

大量の木を川に流す。

それを操るのは筏師。

岩に木がつかえて流れなくなると

氷の様な川に飛び込み

水を吸った重たい木を動かす。

死んだ筏師もいるのは当たり前。

 

私の住む地域も林業の村だ。

村にトラックの道が出来

そこをトラックが走る様になるまで

厳寒の川を使って杉を琵琶湖に運んでいた。

 

同じ様に筏師が筏の上で木を操り

同じ様に岩で動かなくなった木を

筏師は川に飛び込み何とか流そうとする。

同じ様に死んだ筏師は数が知れない。

 

集落に一つずつある神社は

筏師の安全を祈る神社だ。

 

筏で使う大きな杖はサルスベリ

筏に悪さをする河童は

この杖でコツンと叩かれる。

 

この辺りの河童は大変だ。

今はどこで何をしているのやら。

「お元気でしょうか?」

遅くなった日暮れ

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「おっ?、日暮れが少し遅くなった?」

五時を過ぎてもまだほんのりと明るい。

 

冬はまだ始まったばかりなのに

春が遠くに見えた様な嬉しさだ。

 

いつもより早く雪が降った。

やり残した事を考えると気分がめげた。

 

一日一日明るい時間が増え

遠くで手を振っている春。

 

冬至にはカボチャを炊こう。

「秋の長雨でいい小豆が採れなかった」と

嘆いていたトミコさんの小豆で

ぜんざいを炊こう。

 

ちゃんとしたご飯を食べ

仕事をし

雪が積もれば雪かきで汗を流し。

そんな毎日を送りながら

3月を待とう。

EMSで砂漠の町へ

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奥比良 武奈ヶ岳(ぶながたけ)

 

カリフォルニアの砂漠の町で

男のお友達方と楽しい日々を送っている

30年来の友達。

 

86才 男 アメリカ人。

今年も個展をした現役の画家だ。

 

その友達に

毎年送っているクリスマスカード。

一日延ばしにしていた。

 

「こりゃあ大変だ」とカードを作る。

雪の村からふわふわとした熱のある空気の町へ。

 小さな篇壷と共にEMSで送った。 

 

冬でもレモンの花が咲く砂漠の町で

私のクリスマスカードを見ながら

ニコニコしている顔が見える。

 

郵便局への行き帰り

車の窓から見える武奈ヶ岳

 

「あーあ、一仕事終えた様な気分だよ」

三月までのお付き合い

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12月14日

 

カミルが行ってしまった次の日。

雪が積もった。

 

水っぽい重たい雪だ。

 

私がまだ眠っていた暗い間に

除雪機が道路の雪を掻いた。

 

灰色の空から

落ちてくる雪は

冬の厳しさを教え

 

雲が切れた青い空から

踊りながら降る雪は

冬の楽しさを知らせる。

 

どちらにしても

これから3月までの

雪とのお付き合いだ。

スイス人カミルの別れのレモンタルト

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カミルのレモンタルト

 

ジュネーブの母親に電話し

作り方を確かめながら

レモンタルトを作るカミル。

 

皿は

バター、小麦粉、水。

 

レモンクリームは

レモン、バター、砂糖

コーンスターチ、玉子、すりおろしレモンの皮。

 

からりと焼き上がった皿に

いい香りのレモンクリーム。

 

玉子の白みでメレンゲを作り

クリームの上にカバーし

オーブンで焦げ目をつけると

「もっとおいしい」と言う。

 

夜7時半から

ちょっとよそ行きのご飯を食べ

カミルのレモンタルトを切った。

 

タルトの一切れを

よく通った酒屋のシゲオさんにあげたい

と、カミルが言った。

「分かった、明日にでも届けよう」

 

豊かなレモンの香りと酸っぱさ。

たっぷりのバターとレモンの香り。

 

夏にやって来たカミル。

チャックの小屋に泊まっての3ヶ月。

 

近くの山へハイキングに行ったり

福井の小浜まで魚を買いに行ったり

スープを作って持って来ては

うちでご飯を食べて帰ったり。

 

霙の様な雪が降る今日

カミルはチャックの車に乗って

帰って行った。

 

ニュージーランドに行き

友達に会ってからスイスに帰る。

 

車に乗る時

ちょっとしんみりとした表情をした。

「へー、ヨーロッパ人でも別れを惜しむのか?」

と、私は驚いた。

 

来年両親と又来ると言うが

予定は未定と言うじゃないか。

 

「楽しかったね」

 

深夜のワーグナー

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一日の終わり。

とても眠たくて

今日はもう寝ようと思った。

 

でも

ラジオから流れるワーグナーのオペラ。

若い頃

退屈としか思えなかった

長くて単調な曲が

心に響く。

 

昨日は「マイスタージンガー

今夜は「トリスタンとイゾルデ

 

じっと聴き入ってしまった。

 

バイロイト祝祭劇場の歌い演じられる

年末の恒例ワーグナー

 

暗くて切れる様に冷たい夜。

暖かく感じるワーグナー。