雨降りの後
雷が鳴っても
この雨はありがたい。
少しは涼しくなるはずだ。
そして
埃の被った車も
「ああ、すっきりした」
と言う私も
激しく降る雨の午後
夫の両親の墓参りに京都へ行った。
雨に濡れたお墓。
念入りにたわしで洗い
花を生ける。
立ち上がった時に真正面に見える
比叡山から東山。
夕方の空にたなびく雲が美しい。
行きも帰りも渋滞に掛かり
家に辿り着いたのは
薄暗くなった7時だった。
午前7時
どうせ実など成りはしない
そう思っていた。
去年の夏
ミニトマトの苗を20本余り植えた。
広い畑を持たない私は
あちらに数本
こちらに数本と植え
新鮮な小さなトマトを毎朝食べた。
去年に落ちたトマトから
今年は3本の芽が出て
私の無関心を気にもせず
茎を伸ばし
黄色の花を咲かし
淡い緑の実まで付けた。
数日前
「あれ?、トマトが赤い」
ひっそりと しかし 自慢げな
小さな赤いトマトの実が二つ。
同じ畑でのトマトの連作は良くない。
「でも、でもね
このフレッシュな味と弾ける皮。
いいと思いますよ」
畑とも花壇とも言えない地に
這うトマトの茎。
朝の冷気と明るい光を浴びて
どうぞ自由に生きておくれ。
私の住んでいる地域には
小学校が一校ある。
街からやって来た家族の子供が4人
そして先生が6人程。
今年も花の苗とイラスト付きの
自己紹介を持っての訪問があった。
「インドに行きたい」
「画家になりたい」
「好きな音楽はオペラ」
「好きな動物はおおかみ」
自己紹介を読みながら
たった4人の生徒だが
ニコニコと話す子もいれば
目を合わせると
ふっと緊張した表情になる子もいる。
私はどんな小学生だったのだろう?
生徒達の顔を見ながら思う。
年の離れた姉達の間で育ち
随分とませた子供だったに違いない。
貰った花の苗の台湾朝顔が
今朝も一つ咲いた。
水色でも空色でもない
とても気品のある青い色だ。