トマトの茎を抜く

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午後5時10分

 

薄暗くなりかけた頃。

トマトの茎を抜く。

21本植えた内の10本。

よく肥えた土に植えた残りの11本は

まるまるとした赤い実が

まだまだ採れる。

 

コスモスはひょろひょろ伸びて

私の背より高くなり

濃いのやら薄いのやらの

ピンクの花を

風に揺らしている。

 

黴が生えたダリアの茎や葉っぱ。

花もそんなに咲かなかった。

引き抜くと

なんと沢山の芋が付いているではないか。

どこかで稲籾を貰って

そこにダリアの芋を大切に保存しよう。

 

枯れかけた花や

今が盛りの秋明菊

涼しくなって咲き始めた白い台湾朝顔や。

 

時は色を変えて

走る様に通り過ぎて行くよ。

その名はキツツキ

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コンコンコンコンコンコン

と、力強く軽快に木の幹を叩く。

その名はキツツキ。

 

朝から夕暮れまで。

よく脳しんとうにならないものだ。

 

神経質なシジュウカラ

何羽かやって来て

黄色い毛虫を食べては

枝から枝へと飛び渡る。

 

深夜

ラジオから流れて来る

ビリー ホリデイを聴きながら

パソコンのキーを打ち

文を書く。

 

ビリー ホリデイは演歌だ。

喉を震わせて歌心満載で歌う。

 

朝からコンコンと

熱心にリズムを打つキツツキよ。

ビリーホリデイをどう思う?

空気が気持ちいい午後

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「ピーピー」と鳴くと

少し離れた所から

「ジージー」と応える。

 

「ピーピーピー」と鳴くと

「ジージージー」と応える。

 

空気が気持ちいい午後。

作業の手を止め

一点を見つめ

鳥の声を聴く。

 

ジージーなんて変な声。

シジュウカラ

何を応えてるの?

 

窓の向こうに広がる

秋の空に

一刷毛の雲。

 

背の高い

コスモスも揺れている。

本の中の「食」

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ソローの「メインの森」

4フィートの長さの木が何本も焚かれている

牛を一頭丸ごと丸焼きに出来る程の大きな暖炉。

カバ ブナ カエデの薪。

19世紀 アメリカ メイン州奥の

森の中の農場で出された豊かな食事に

私は舌なめずりをした。

 

まずはホヤホヤの熱い小麦粉のパンケーキ。

農場の産物のハム、玉子、じゃがいも

牛乳、チーズ。

たらと鮭、糖蜜で甘くした茶

甘いケーキ。

ヤマコケモモをとろ火で煮て甘くしたもの。

 

「贅沢貧乏」森茉莉

冷蔵庫を持たない森茉莉

氷を入れたジャーに

トマトを冷やしていた。

缶詰のハムとスライスしたトマト。

 

玉子をことの外愛した森茉莉

キノコ入りオムレツ

刻みパセリ入りオムレツ。

 

大草原の小さな家

たっぷりのバターで黄金色に炒めたじゃがいも。

そば粉のパンケーキ。

まだ青いカボチャをリンゴの代わりに使ったパイ。

カボチャの上に少しの酢を回しかけた。

 

「スペンサー」シリーズ

ボストンの私立探偵スペンサー。

本の中に登場する料理を集めた

クッキングブックが出版される程

スペンサーは料理をした。

 

火は弱火。

フライパンにソーセージを入れ

滲み出て来る油で

厚い目にスライスしたリンゴを共に焼く。

たっぷりのマスタードで食べる。

 

そして

うちの晩ご飯の一品。

 

豚の唐揚げ、満願寺唐辛子と人参の素揚げ。

これたをスライスタマネギたっぷりの甘酢に漬け

上からミョウガを散らす。

体調が狂いがちな夏から秋においしい。

 

本の中に登場する料理と私の一品。

唯一の共通点は分厚く重い鋳物の

開拓時代から使われているフライパンだ。

 

私は特別食いしん坊ではないが

本に登場する料理は

頭の中に沢山ストックされている。

「ホトトギスよ」

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ホトトギス

 

ガマズミの話をしたら

「私も!」とホトトギスが言う。

 

ひっそりと清楚な風貌のわりには

積極的な娘だ。

 

日当りのいい山の崖

あちらこちらで咲いている。

 

車やバスの窓からは

気がつかない。

 

ゆっくりと道を歩き

「どうかな?」と覗き込まないと。

 

私と出会ってどう思っているのか。

「でもホトトギス

私はあんたに出会って嬉しい」

 

ガマズミの赤い実

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ガマズミ

 

淡い色のホトトギス

赤い粒の様な花の水引草が

あちらこちら

道の脇に咲いている。

 

夜になると鳴くコオロギや

名前の知らない虫の声。

リリリリリと鳴いたり

リンリンリンと鳴いたり。

 

高くて青い空に

薄く綿を伸ばした様な雲。

 

夏が後戻りするかと思っていたら

きっちりと秋になった。

 

そんな秋の空気の中で

ガマズミの

赤い実を見つけた時の嬉しさ。

それは少し疲れた様な

緑の葉っぱの中にいる。

 

焼酎に漬けてガマズミ酒。

枝と葉は染料に。

赤い実の枝を

髪に飾った山の娘。

中々の働き者だ。

 

香り高い蕎麦

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京都出町柳にある蕎麦屋さんの

手打ち蕎麦を貰った。

 

チャックの畑のボランティアをしている

バンクーバー出身のカミちゃん。

 

数日前

「ざるそば 好きですか?」と聞く。

「好きよ、なんで?」

「別に、なんとなく」

 

そして今日

手打ち蕎麦を持って来た。

 

スイス人のカミル

帰国したアメリカ人のショーン

今滞在中のメキシコ人のアルトゥーロ

「彼らに優しくしてくれるからお礼です」だと。

 

優しくしてるのかな・・・?

 

見るからに美味そうな生の蕎麦。

ざるそばに決まりだ。

 

トミコさんに貰った野菜。

かぼちゃ、満願寺唐辛子、なすび

そして

豚肉を天ぷらにしよう。

沢山揚げて明日のお昼は天丼に。

 

上等なそばつゆもある。

4倍希釈。

これに刻んだ茗荷をたっぷりと。

 

天ぷらの後は

たっぷりの湯で蕎麦をゆがく。

蛇口からほとばしる水は冷たい伏流水。

冷たい水で洗いよくしまった蕎麦。

 

器に盛った蕎麦。

野菜と豚肉のてんぷら。

みょうががたっぷりのつゆ。

 

口に含んだ蕎麦からは

糠のような濃い香りがする。

美味い!

 

カミちゃんにお礼のランチでもと思う。

でもカミちゃんはビーガン。

動物由来のものはいっさい食べない。

どうする?