月の宵

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夕方5時半

 

タイチさんの家を出たのが 夕方の5時半過ぎ。

暗い道を 食パンと豆大福の入った袋を持ち

200メートルも離れていない

うちの小屋まで歩く。

 

タイチさんの奥さんは

私が帰り際に

必ず何かのお土産を持たす。

今日は食パンと豆大福。

 

すでに暗い夕方の道は

明るい月に照らされて 

夜気は きりりと冷たい。

 

最近顔を見せない狐が

何処かから 私を見ている様な気がする。

私はここにいるよ 元気かい?

 

靴音も吸い込まれていく月の宵。

金星も輝く贅沢な12月の半ばだ。