午前6時40分
見慣れた風景も
一度として同じ時はない。
朝の7時前。
まだ
空気は冷たく
草の上の露も乾かない。
山の向こうから
やっと顔を出した太陽。
白く輝く光の束。
「おう!」と私の心が唸る。
静かな山里が
眠い目をこすりながら
ゆっくりと動き始める時だ。
2011年
東日本大震災の跡地に立った
マサチューセッツ工科大学(MIT)のハーパーは
目の当たりに見た。
そして
ハーパーと彼の同僚は
自然環境に左右されない
コンピューターが環境をコントロールする
農業を開発した。
それがフードコンピューター(The Food Computer)
水耕栽培の一種で
根は空気にさらし、霧を吹きかけられ
成長を促進する。
栽培の全てを
コンピューターが指令を出す。
経験のない人でもプロの農民になれる。
差し迫った食料危機。
独創的な解決法に拍車がかかればと
ハーパーは望みをつなぐ。
と、言う記事を読んだ。
自然災害で電気が止まれば・・・
そんな疑問も頭をよぎるが
それよりも
青い光を浴びた野菜工場の中で育つ
菜っ葉や大根を思う。
蒸し暑い一日だった。
今日の夕焼けの雲は茜色だ。
タイム (Thyme)
「マムシの心臓を9回食べた」
と話すのは90歳のオチヨさん。
山の中へスタコラ入り
ワラビや栃の実を採る。
家族の朝食の準備をし
洗濯機を回し
その後午前中に
サツマイモの苗を200本植える。
マムシを捕まえて
ピッと裂き
心臓をパクっ。
だから元気なんだと。
79歳のタイチさん。
10代の頃マムシに噛まれた。
近所の鍼灸の名人のお爺に
木の葉っぱを足全体に貼ってもらい治った。
「マムシは叩けばすぐに死ぬ」と言うのは
80は過ぎているエミさん。
頭をポンポン叩いた後ナタで切り
庭石の上に置いておく。
「とんびがすぐに持って行くで」だそうな。
村の診療所の32歳のやる気満々の男のお医者さん。
蜂に刺された時の
アナフィラキシーショックの話をしにやって来た。
村のかつての娘達が披露する
この村では現代医学を超える民間療法や東洋医学が
まだまだ存在しているんですよ、先生。
ほら
周りを見渡しても
薬草だらけ。