モコモコ モコモコ。
「生きてるぞー」
叫んでいる緑。
動いている緑。
あの緑の山の中は
柔らかな葉っぱの間から
木漏れ日がキラキラ。
色々な鳥の鳴き声が
あちらこちらから。
分け入りたい
輝く山へ。
数日前に
ケンジさんから箱一杯の
タケノコを貰った。
次から次へと皮を剥く。
柔らかくてかわいい
小さなタケノコ。
鍋から溢れる程に
ギューギュー詰めで
湯がいた。
ワカメと一緒に醤油味で。
タケノコご飯も。
分厚く切って
フライパンで焼いて
木の芽味噌で。
ホワイトシチューにも。
そして今日
切ったタケノコとワラビにワカメ。
馬路村ポン酢に砂糖を少し
キャノーラオイルを加える。
香り高い七味と
刻んだ山椒の若葉も。
よく混ぜて
タケノコ達に回しかけよう。
「タケノコ攻めだ」と嘆きながらも
今の季節だけの春の生命だ。
京都駅
「友遠方より来る」
京都駅で待ち合わせ。
「京都タワーに登ってみようか」
と信号を渡り
向かいに建っている駅ビルを見た時
私は意外な事に気がついた。
私は駅を真正面から
見た事がないと。
いつも
駅の中を乗り換えで歩いたり
伊勢丹の地下で食材を買ったり
地下鉄の駅に向かって
忙しく歩いたり。
ゴールデンウィークの後半。
雑踏の中を歩きながら
ガラスの壁に
空を映している
駅ビルを眺めながら
私はまるで異邦人だ。
ご飯を食べては話し
コーヒーを飲んでは話し
歩いては話し
冷たいジンジャーエールを飲んでは話し。
駅の構内で
「又、会おうね」
と右と左に分かれた。
夕方
帰り着いてもまだ明るい。
これは嬉しい。
2株のパセリを貰った。
根に土のついたパセリ。
大きなたっぷりとした
濃い緑の葉っぱ。
さて
この食べきれない程の葉っぱを
どうしようか。
森茉莉は
「貧乏サヴァラン」の中で
沢山の玉子料理を語っている。
まずは目玉焼き。
半熟の黄身を少し崩し
胡椒と少しの醤油をたらす。
キノコのオムレツ。
そして
パセリのオムレツ。
と言う訳で
私はケンジさんの玉子で
パセリオムレツを作る。
玉子に刻んだパセリを加えて焼くだけ。
味付けは胡椒と塩。
フライパンに
キャノーラオイルとバターを少し。
バターが少し焦げ始めたら
パセリ入り玉子を
流し入れるだけ。
中は半熟で
外側はこんがり。
次は映画「ディア ハンター」
ベトナム戦争で友達が死んだ。
仲間が集まって友を偲び
その時に焼かれるスクランブルエッグ。
沢山の玉子に
ミルクを加え
それをフォークで撹拌。
フライパンに流し入れ
フォークでかき混ぜながら
焼いていく。
もう一つ。
韓国映画でのゆで卵。
汽車の中で買って
それを頭やおでこで
コツンと割って食べる。
さて
焼き上がったパセリオムレツ。
青臭い匂いは消えた。
熱いうちに切り分けて
さあ
食べよう。