遠い日の話

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私の前に在る石は 哲学的な風貌で

背筋を伸ばし前を見つめる。

 

近くの山から持ち帰った

太い樅の木で作った台の上に

裏の河原で見つけた哲学石。

 

共に静かに 夕方の微かな光を受けている。

息づかいまでが聴こえるような空間で

飾り気のない 二つの物が

遠い日のお互いの話をしている。

 

椅子に座り 耳を澄まし 

その座に加わった私は

黙って二人の話を聞き続けた。

それは遠い日の風の音や 

川の流れが聞こえるような

なかなか楽しい話だった。