午後4時 雨
淡い緑に銀色を混ぜた様な葉のあの樹
他のどの落葉樹よりも多く山を覆っているあの樹は
楢だと今更ながらに気がついた。
杉、檜の林業がこの村の生業だったのなら
楢で作る炭は副業だった。
山のあちらこちらに炭焼窯の後がある。
男性なら炭俵3俵、女性なら炭俵2俵を担いで
炭問屋まで運んだと言う話はついこの間の事だ。
楢の木がなぜ多く山にあるのか、
うちに植わっている木を
「それは食べられるんか?」となぜ聞くのか。
今や名物の栃餅も乾燥ワラビも鯖のなれ鮨も。
それらから、冬、かつて雪に閉ざされた村の
厳しく貧しい生活が見えてくる。
厳しい山の生活に意味の無いものはないのだと
楢の木を見ながら思う。