記憶

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(午後4時30分)

 

ひとひらの 細い白い

おだやかな ほのかな雲が

風に吹かれて 大空を行く。

目をふせて 感じるがいい。

喜びに満たされた あの雲が

その白い涼しさで 

おまえの青い夢の中を 過ぎて行くのを。』

 

   春か初夏の気持ちのいい日

   ふと空を見上げた時に

   心に浮かんだ

   ヘルマンヘッセの「白い雲」

 

『ひらひらと月光降りぬ貝割れ菜』

 

   月の光が

   あたりを明るく照らす

   春の夜に

   映像となって心に浮かぶ

   川端茅舎(かわばたぼうしゃ)の句。

 

   高校の現代国語の教科書に載っていた。

   半世紀は過ぎたのに

   ふっと心に浮かぶなんて。

   

   人間の記憶とは

   本当に底なしで不思議なものだ。