ソウルと美しい田園が広がる江原道(クァンウォンド)を舞台に、「昼間から呑む」(2009年)は作られた。
韓国の輝ける若手映画監督の1人、ノ・ヨンソク。
監督、脚本、撮影、美術、編集を1人で手がけた。
カメラは普通のビデオカメラ。
100万円にも満たない低予算で、荒削りな、ユーモアの溢れるロードムービーを生み出した。
彼女にふられた青年。
その青年を慰めるために旅行に行こうと計画した友達。
しかし、約束の場所に友達は来なかった。
ここから始まる頼りない青年の旅。
いかがわしい人間や宿屋、だまされたり、親切だと思っていた男に襲われそうになったり、下着一枚で冬の寒空に放り出されたり。
「バカだなぁ」と苛つきながらも、この青年の行く末が気になって仕方がない。
そして、映画のラスト。
このラストシーンの為に、監督はこの映画を作ったのではと思わせる。
どこ迄いっても頼りない、優柔不断の、しかし、どこかかわいい主人公。
いつになったらソウルに帰る事が出来るのか。
「春の日は過ぎゆく」のホ・ジノ監督へのオマージュなのか、それとも只単にこの映画が好きなのか。
クスッと笑える仕掛けがある。
ジム・ジャームッシュの「ストレンジャー ザン パラダイス」の匂いも少し感じる「昼間から呑む」
見て欲しい。
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文中の青色「昼間から呑む」をクリックすると予告編にリンクします。
TSUTAYAでレンタル出来ます。