2021-01-01から1年間の記事一覧

机の上 枯れた紅葉の葉

枯れた黄色の紅葉。 表の机の上に落ちて来て 山陰から現れた 朝陽の強い光を浴びる。 風化途中の杉板の机に 鋭い影を落とし 風が吹けば 土の上に厚く積もった 紅葉の葉の上にふわりと重なるはず。 やがて 雨や夜露に晒されて 土に還る。 沈黙する静かな 枯れ…

灰色の鯨みたいな雲

17日 午後5時ごろ 灰色の鯨みたいな雲が三つ 走る車についてくる。 刈り取られた稲田の上に 広がる空は 大きく広く 雲は「さあ 走ろう」と私に言う。 夕方の暗くなる前の風景の その中を走る車と競うように 横に 前に現れる雲。 「早く 山の小屋に帰らない…

心に残る物 ホオズキ

心に残る物 それは 石であったり 道に落ちている葉っぱだったり 松ぼっくりであったりする。 それらを 器に入れ 私の目の届く所に置くのが好きだ。 時期外れに姿を現したホオズキ。 数日前に 茎を手折り持ち帰ったものから ポロッと落ちた赤い実を 小さな角…

錆びた釘

私の住んでいる小屋の暖房は 薪ストーブ一つだけだ。 番小屋などで使われている 薄い鉄板の安価なもの。 燃料の薪は 雑木 針葉樹 そして 工務店から運ばれてくる廃材。 寒い冬には どんどん燃やしたい。 薪はいくらあってもいい。 燃え付きもいい よく乾いた…

(2)「アメリカの心の歌」長田弘著 ヴァン・モリソン(Van Morrison)

日本公演を 未だにしていない稀有な 大物シンガー(ソング&ライター) 北アイルランド出身のヴァン モリソン。 20年ほど前に 友達がカセットテープを貸してくれた。 恋人よ 月夜に一緒にダンスをしてくれないか と歌う「Moon Dance」や「Brown eyed girl…

(1)「アメリカの心の歌」長田弘著 エミルー・ハリス(Emmylou Harris)

「アメリカの心の歌」 25年ほど前に 友達から借りた本だ。 読後 すぐにAmazonで買った。 著者の長田弘は 美しい日本語で 「歌は 人々の生きた記憶が そこにある場所だ」 と書く。 12の歌手 グループが登場する中で 特に興味を持ったエミルー・ハリス。 …

赤い紅葉

紅葉(こうよう)の美しさは 夜と昼間の気温の寒暖差による。 昼間が暖かく 夜は凍える程冷たい。 そんな日が続くと 錦繍と呼ぶにふさわしい 山の彩りになるのだ。 茶色と黄色の山を見上げ 今年の気候はどうだったのかと思い返す。 道路の脇に吹き溜まった茶…

季節外れのホオズキ

何年も前に お寺のそばの銀杏の木の枝を バッサリと切り その枝を小さな丘のように 積んである場所。 そんな枯れた細い枝の間から 細い茎のホオズキが 何本も ひょろりと顔を出していた。 青い空の下 明るい陽の光 オレンジ色のホオズキは 静かに下を向いて…

大根の皮と葉っぱ

昨日読んだ 「のぶち nobu_1220さん」のおかずが心に残っていた。 それは 大根の皮のきんぴらと 大根の葉っぱを混ぜ込んだ菜飯。 今日沢山の大根 赤かぶ 白かぶ 白菜 小芋を貰った。 早速 大根葉の菜飯と 大根の皮と人参のきんぴらを作った。 出来上がりを見…

強風の一日

滋賀に強風注意報が出た。 朝から深夜まで 強い風が吹き続けた小屋の上。 谷筋の川に沿って 南からの風が吹き抜けた。 強風が苦手な私は 杉の林が 波打つように揺れるのに 心を不安にさせられる。 そんな昼間 奥の集落に住む 卵のヤマケンさんが 卵の配達に…

遅れて咲いたカガノアザミ(加賀乃薊)

カガノアザミ 立冬 なんと早い季節の移行だったのか。 落ち着かない世情に振舞わされ続けた。 周りを見渡せば 濃い緑の杉の人工林 その上に 紅葉(こうよう)の広葉樹 そして 明るい青の空。 トンビの親子が 輪を描く。 下を見れば 茶や黄に色づいた落ち葉が…

ベゴニアの花

花の盛りがすぎた小屋の周り ベゴニアの赤いのと ピンクのがまだまだ元気だ。 夏の初めに ポット苗を二つもらい 小屋の前に とにかく植えた。 目立たないどこにでも咲いている花。 ひと月 ふた月 み月 雨に打たれたり 風に倒されたり。 小さかった花の房は大…

輝く黄色い木の葉

山の村の朝の輝きは格別なものだ。 やっと顔を出した太陽が 夜露を浴びた 木々の葉っぱ 草 屋根 道路を輝かす。 ドアを開け 表に出て 冷たい空気を吸い込む。 黄色 茶色と日々濃くなる木々の移ろい 驚きの日々だ。 山を覆っていた朝霧が 日の光で スーッと消…

陶のかけらのような きな粉クッキー

きな粉クッキー 焼き上がった40個のクッキーを 黄土色したプラスチックの保存容器に 白の紙を敷き きっちりと立てて並べる。 小麦粉や砂糖と一緒に きな粉をたっぷりと加えて よく練った塊は しっとりとして まるでマジパンだ。 いい加減に引きちぎり 上を…

冬苺の赤い実

冬苺 冬苺の赤い実は どの木苺よりも美しい。 透明感のある一粒一粒が 蔓に実っている。 夏の終わり 白い野茨のような 凛々しい花をつける。 その花を覗きながら 秋になる赤い実を思うのだ。 甘くて赤い実を根気よく摘み 木苺ジャムを作るのは恒例の仕事。 …

一隅の秋

明るい茶色の葉っぱを 何枚も持ち帰る。 緑の時は 椿のような 厚みのある 光る葉。 虫に食われたり 強い風に吹かれたり 穴の空いた様 くるりと内側にカールした様。 水を入れた花器にそれらの葉を挿す。 琥珀色の葉の塊 2枚の枯葉 表は早い夕暮れで ライト…

鳥の羽

カケスの羽 鳥の羽を数枚ずつ 透明の袋に入れ 鳥の名前と 採った場所を記した黄色のシール。 二十歳前の男の子が カメラと双眼鏡を持ち 県境の峠に登り 鳥を視る。 そして 峠 近くの山 家の近くで羽を集める。 黒と水色の縞のカケスの羽 美声ではないが 眼力…

今朝の散歩

タイチさんに 草刈機でバッサリと 刈られてしまった野菊。 しかし 刈られても 刈られても まだまだ いくらでも咲いている。 薄い紫に 黄色のシベ。 花びらや葉は 朝露に濡れて 冷たい空気の中で 咲いている。 私の皮のワークブーツも 朝露で濡れて 先っぽが…

アリソン・オニール 羊飼い

Alison O'Neillの写真 Twitterより アリソン・オニールさんは イギリス スコットランドに住む羊飼いだ。 勿論 会った事もない。 ふとしたきっかけ Twitterで彼女を知った。 なだらかなスコットランドの丘陵地帯。 そんな丘の上に アリソンさんの家がある。 …

絵本「みみお」 鴻池朋子著

絵本「みみお」 鴻池朋子著 丸くて もふもふ 目も 鼻も 口もない 見た事もない 生き物「みみお」 深い森の中 春に生まれたみみお。 櫟のふかふかの枯葉の上 スノードロップの花の下で。 四季を通じて 森を旅し 冬に巡り会うまでを 鉛筆で精密に描かれ 簡潔な…

絵本「焚書(ふんしょ)」 鴻池朋子著

「焚書 World of Wonder」鴻池朋子著 図書館で借りた 絵と文の本。 絵本というには 読むのに多分のエネルギーがいる。 優れた筆致の鉛筆画 簡潔な文章 ページをめくった瞬間から うねるような想像力で 私を地球の誕生に引き摺り込む。 開かれたページには 精…

カワガラスが飛び始めた

ガマズミの実 アキノキリンソウ リンドウ 赤いガマズミの実が群れている 枯れかけた葉の間の 小さな実 鳥達が啄んでいるのを 見た事がない。 アキノキリンソウは 鮮やかな黄色 どこに咲いていても すぐにわかる。 淡い薄紫のリンドウと共に ポキポキと手折り…

果実と共有する時の歩み

貰った枝付き葉付きの柿。 ハサミで柿の実を切り取り 深い竹のザルに収める。 まだ青い実は 猿に食べられる前の収穫。 柿の香りを初めて感じた沢山の柿だ。 テーブルに竹ざるに入った柿を置く。 赤くなるまで気長に待とう。 日々 変わりゆく色の変化 熟れゆ…

「孤独の発明」 ポール・オースター著 本当にこの本を読んだのか?(2)

「孤独の発明」 30年前の本のページをめくり 私は本当にこの本を読んだのか?という 不思議な感覚を先日書いた。 その日から読み始め そして昨日 「やっぱり 私はこの本を読んでいた」 主人公であるオースター(著者でもある) 亡くなった父の遺品整理をし…

水に浮かんだダリア

枯れそうだからとはいえ 余りにも華やかな花を ただ捨てて 土に還すのは駄目だ。 白の大鉢に 水を張り 茎を切った萎れたダリアを浮かべた。 一晩 雨が降り続いた朝。 水に浮かんだ花は 花びらが解けた。 そして 溢れそうな水に 私の顔が映り その向こうに空…

黄色の葉っぱ

土に還る前の朽ちた葉っぱの上に 黄色の葉っぱが重なる。 その葉を 指でつまみ上げ くるりと回し 裏を見れば 雨に濡れた土が付いている。 どこから来たのかと 木々の枝を見上げる。 山のどこかから ひらりひらりと落ちて来た その 黄色の葉っぱは 居場所を見…

「孤独の発明」ポール・オースター著  本当にこの本を読んだのか?

メルカリに出品しようと 本の写真を撮った。 ページの間に 何か挟んでないかと パラパラとめくり始めた時に 「本当にこの本を読んだのか?」と 私は 内容を全く覚えていないのに気がついた。 30年前の本「孤独の発明」 ポール・オースター著 オースターの小…

今日は青空

窓を開けると 朝の冷気が入り込む。 半袖のTシャツでは落ち着かない。 フランネルのシャツを重ねた。 小さな小屋の大きな窓は 花粉や綿毛 枯れた木の葉の 夏の置き土産で 随分汚れた。 薄い木綿のカーテンはくたびれて そこを透る朝の光は穏やかだ。 静かな…

安価な高麗青磁の湯飲み

8、9年前 ソウル仁寺洞(インサドン)の 間口の狭い陶器屋の前。 高麗青磁の湯呑みが カートの中に 雑に入れられ 安価な値段で売られていた。 二つ買い求め 大事にバッグに収めた。 それは手のひらに載る程の大きさ。 淡いブルーに 潔く貫入が入る小さな器…

ダリアと松ぼっくり

ダリア ピンクとオレンジ色の 大輪のダリアの花を貰った。 デュフィーの描く フランスの壁紙の色だ。 朽ちかけた壁を思わせる花瓶の中 東の窓の側で 淡い昼の光を受けている。 そばに置いた2個の松ぼっくりが 静かな声で思い出を語る。 韓国 水原華城(スウ…