黄色と赤の葉の色が濃くなった

 

ガソリンスタンドの 国道を挟んで向かいのバス停。

余りにも見事な紅葉を

ガソリンを入れてもらっている間

ぼんやりと見ていた。

 

そして 車の窓を開け 

カバンからスマホを取り出し

少しだけ 拡大にして撮った。

 

今年は

山の広葉樹の色付きが遅く

ここ数日で 茶色の葉っぱは散ってしまい

黄色と赤の葉の色が濃くなった。

 

車を走らせていると

黄色の葉が散っている様に感動する。

霧雨に煙る山に 靄が立ち上るのも美しい。

冷たい空気の毎日

マフラーをして 外に出るのが気持ちいい。

煙突から立ち上る 白い煙が好きだ。

濃いめの熱いインスタントコーヒーを啜ると

鼻の先や頬に湯気を感じる。

 

日暮れの早いのが 気忙しいが

冬至が来れば 又 少しずつ昼間が長くなる。

それが嬉しい。

落ち葉

 

小屋の周りの落ち葉も

鮮やかな色の葉が増えてきた。

風が吹けば はらはらと

春の桜の花びらのように舞い落ちる。

 

ポプラにつく 黄色の小さな毛虫。

それを食べに シジュウカラが群れてくる。

私を見つけると 警戒の鳴き声で

みんなに知らせる。

 

冷気が気持ち良く 

首に一枚のマフラーを巻くと

指の先までが暖かくなるようだ。

 

夜に 友達に貰ったスコッチウィスキーを

好みの湯呑みに注ぎ お湯で割る。

湯気と共に芳醇な香りが 小屋の中に漂う。

 

拾った落ち葉を台に並べ 写真を撮る。

ふうっと ため息をつく程に美しく

葉書にしてみよう。

そして ラインではなく

これで友達に便りを出そう。

丹波焼の地 立杭行き

 

丹波立杭に行った。

JR相野駅で4、5年振りで会うAさんと待ち合わせて

バスで「兵庫陶芸美術館」「立杭 陶の郷」へ向かう。

立杭の里を取り巻く 秋の光を浴びた 

広葉樹の山並みが穏やかだ。

 

陶芸美術館の特別展示は

フランス アールヌーボーのガラス作家

ルネ・ラリックの作品。

そして 新旧丹波焼の展示が 物足りないかな。

 

 

美術館から 60軒ほどの窯元が 

道を挟んで並ぶ窯元の集落へと歩く。

歴史を感じさせる家と陶房 質素な展示スペース。

陶房と店の人たちの穏やかさと人の良さ。

商売っ気がない。

それが とても気持ちがいい。

 

丹波焼 最古の登り窯

 

蛇窯と呼ばれるに相応しい長い登り窯。

これも 窯元の並ぶ集落の中にある。

今も現役で頑張っているのか?

 

 

この看板が気に入り

「坂の上」の矢印につられて行ってみた。

美しい広葉樹の先に 大きな陶房が見えた。

 

 

 

集落の人々 美術館で働いている人達

風景も含めて 立杭は穏やかな土地

そんな印象を持った。

 

手のひらに載るような 

小さなピッチャーをお土産に買った。

 

ニコラスからのメール

撮影:ニコラス(Nicolas) in Finland

4年前 

有機無農薬農業を うちの近くでやっている

チャックのボランティアとして

山奥のこの集落に 数ヶ月滞在したニコラス。

 

数日前に Facebookメッセンジャーから

メールが届いた。

4年振りというか 初めての事だ。

 

フランス人のニコラスは

小柄で 行儀がよく 賢そうな男の子。

大きな目をして 髭をはやし 煙草を吸った。

父親がジャーナリストで 

そのせいか 若いのに色々な国に旅していた。

 

          撮影:ニコラス(Nicolas) in Finland

 

そして 今は フィンランド

ビーバー 熊 狼・・・

大きな動物の生態調査をしている。

いかにもニコラスらしい。

私の短い間に知ったニコラスは そんな男の子だった。

 

この地を離れる時

住所も メールアドレスも交わさず

思い出だけを心に残した。

遠く離れた国から届いたメールに

私は(もちろん夫も)とても幸せだ。

「アンドリュー・ワイエス 作品集」 高橋秀治著

 

絵でも 本でも 映画でも 音楽でも

最初に出会った時には そんなに感動しなかった

という 経験をした人は 私だけではないはずだ。

 

でも ある時 そんな絵や本や映画や音楽が

自分にとって意味を持つ様になる時が来る。

意味というより 大好きになると言ったほうが良い。

 

1974年 京都国立近代美術館

私はそこで「アンドリュー・ワイエス展」を見た。

その時から およそ半世紀の今

私はアンドリュー・ワイエス作品集を見て 読んで

大好きになっていた。

 

 

近代美術館でこの絵を見たのを 覚えている。

強い風に吹き上がるようにたなびくレースのカーテン。

高橋秀治さんの文を読むと

レースのカーテンが 意味を持ち始める。

「海からの風がカーテンを吹き上げた瞬間。

私は興奮して卒倒してしまうところだった」とワイエス

ワイエスはこの光景を1、2分見ただけなのだが

写真の様に細かく思い出すことができた」

と著者の高橋さん。

 

 

海霧に覆われるオルソン・ハウス。

座礁して風雨にさらされた船が現れたようだ」と 

ワイエスの妻ベッツイは思った。

 

アメリカ ペンシルヴァニアに生まれ 育ち 描き

夏は メイン州の海辺で過ごし 描いた。

 

ワイエスの長い人生と 膨大な作品を載せた

「アンドリュー・ワイエス作品集」

図書館で借りたが やっぱり欲しいなと思う。

 

 

霧の朝

朝 目覚めると 窓の外は真っ白な霧に包まれている。

そんな朝が続いている。

 

今朝も 峠では美しい雲海が見えるはず。

小屋の前の道は 白い霧の中へ吸い込まれる様に消える。

こんな白い風景を 今まで何回見た事だろう。

 

スマホを持ち 外に出る。

草も落ち葉も露で光り 靴の先が濡れる。

何枚か写真を撮り 

ストーブで暖まった小屋で 朝ごはんを食べる。

ミルク紅茶と トーストとカスピ海ヨーグルト

簡単なお決まりの三品。

これを食べて 私の朝が始まる。

一気に 秋の美しさ 

「美しさと意志」の家

 

うちから二つ奥の集落へ用事があり行く。

細いくねくねとした山道を車で10分ほど。

谷筋のうちの集落より 少し広がりがある。

それだけで 空が広い。

 

山や家々の木々が 1日1日色づいて

秋の美しさが これから一気に始まるのだ。

 

この辺りに行くと

いつも私が写真を撮る家がある。

トタン屋根の 少しずつ建て増した家の

周りの風景に溶け込んだ 美しさと意志。

私のこの思いを この家の住人が知ったら

「え〜 美しさと意志だって!?」

 

冷たい雨が止んだ後

昼過ぎに 大きな虹を見た。

山と山を繋ぐ 見事な虹の橋。

 

下を見れば 土に茶や黄色 赤い葉が重なり

それが 雨に濡れ しっとりとした秋の風情だ。