一月半ばの今日

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暖かくなると 天気予報で言っていたが

私はいつものように 

フード付きのコートを着て歩いた。

寒さ 冷たさはまだまだ続く。

 

一月の半ばの今日。

暮れにオチヨさんに貰った

栃餅 蓬餅 白餅を ついに食べ切った。

お手間入りの自家製餅。

大きくて 食べ応えがあった。

ストーブで焼き 

缶詰の甘い小豆を たっぷり載せた。

 

栃餅は手間がかかる。

山で栃の実を集め

灰汁を抜き・・・

 

蓬も畑の畔で摘んで

冷凍にして保存する。

 

95歳のオチヨさんは

毎年する事を 今年もする。

 

きれいに形作られた餅。

美味しく ありがたく食べた。

見事なツララ

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氷柱(ツララ)

ぽとり ぽとりと

清らかな伏流水のツララから

溶ける雫。

 

山の上から

地の中を流れた水が

辿り着いたところがここだ。

 

誰もが声を上げる。

「わあ これは見事だ」

 

透明なとは

こんな事を言うのだ。

なんの混ざりけもない氷。

持ち帰り 夏にグラスに割り入れ

琥珀色のウィスキーを注げば

さぞかし美味なオンザロック

 

そして

口に含んだ氷の

長い旅路の話を聞こう。

それは

静かで 穏やかな旅だと思う。

枯れた花のセピア色

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ブルーミストフラワー

若い頃

それは もう随分前になるが

枯れた花 ドライフラワー

好んで飾っていた。

 

スターチス バラ ストック

どんな花も 最後には壁にぶら下げて

よく乾けば 大きな広口のガラス瓶に入れた。

 

その嗜好は今も残り

道を歩いていても

枯れた花の前で 立ち止まる。

 

小屋の周りのあちらこちらに

咲いていた ブルーミストフラワー。

薄い紫の 生命力の強い夏の花だ。

 

枯れても 尚 しっかりと立ち

雪の重みにも耐えている。

 

無彩色の世界で

枯れた花の 深いセピア色が

静かに美しい。

 

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灰色の空の下

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まるで

考えて立っているかの様に

幹を 程よく曲げ

枝を捩っている柿の木達。

 

北から吹雪いた雪を受け止める。

 

灰色の空の下

何かを話しているように立っている。

それは 私の心に届くのだ。

 

立ち止まった私は 腕を組み

枝を抜ける風の声を聴く。

 

灰色の日は低い声で

空色の空の日は 軽やかな声で

私に話しかける風の声。

 

そして 私は応えるのだ。

「やあ やあ!」

凍った一日

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温泉に行く途中

九日。

仕事場の花瓶の水が カチンカチンに凍った。

花瓶の花は 氷に捕まり

びくともしない。

 

表のバケツの水も凍った。

 

バスタブの蛇口から 湯が出ない。

シンクの蛇口からは 温かい湯が出るのに。

 

辺りは凍ってしまった。

 

「温泉に行こう」と 車で片道30分の

山の中腹にある温泉へ 空いている午前中に。

温かい温泉の湯でほっとした。

 

帰り道に見える 雪に覆われた畑や山。

山の上を行く雲 雪を被った遠くの山。

「ああ 空が広いなぁ」

しばらく見つめ チクチクする冷たさに

慌てて車に引き返した。

 

朝 目覚めたら まず湯が出る様にしよう。

洗濯機の凍った水道も使える様にしよう。

 

後 数日で 又気温が上がると

天気予報で言っていた。

凍った雪に閉じ込められた杉の葉

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昨日 

雪の道を歩いた私の足跡が

そのまま残っていた。

スノーシューズのソールの模様。

 

そして

アスファルトの道は

凍ってツルツルと滑る。

 

夜の間に

どっさりと雪が降るものだと思っていた。

朝 窓から見えた空は 青く輝き

表に出ると キーンとした鋭い空気感。

頬に感じる痛いような冷たさ。

 

こんな日は下を向いて 気をつけて歩かないと。

 

道路脇の凍った雪に

杉の枯葉が閉じ込められ

それから 目が離せない。

 

腰を屈め 凝視し

美しく模様を描いた自然の技を

私は記録したいと

スマホのシャッターを押した。

静寂な風景

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お正月に降って黒ずんだ雪が

夜に降った雪で 又 白く覆われた。

 

雪を踏むと バリバリという音。

谷にかかる橋の上は

凍ってツルツルと滑り

顔にあたる風は とても冷たい。

気温が下がって来ているのだ。

 

杉の枝に乗っかった軽い雪が

強い風で 白い靄のように

吹き飛ばされている。

静寂な風景の中の

軽やかな動き。

 

それを見て

ハッとする私の心の動き。

 

遠くに聞こえる

鳥の鳴き声。

 

冬の晴れた日の 透明な静けさ。

その中で動く雪や 鳥の鳴き声は

遠くで鳴り響く鈴のようだ。