谷に沿って歩く

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久方振りに

小屋の北の谷にそい

奥へと上がる。

 

谷の水は清らかで

木々の間から漏れる陽が明るい。

 

鳥達の鳴き声が

あちらこちらで響く。

大きく響くのは シジュウカラの警戒音。

 

倒れた木々を覆う

柔らかな苔 地衣類。

 

時折聞こえる ピシッという音。

周りを見渡しても 何もいない。

 

何かに どこからか 見られている様な

そんな気がする。

 

道路から50メートルも山に入れば

そこは深い山。

木々に囲まれる人間は

小さな存在だ。

野菜のタフな生命力

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植えて 大切に育てた花であっても

風雨にやられて いつの間にか

消えてしまったのもある。

 

かと思えば 切り落とした

大根や 蕪のへたを

土に埋めるだけで

青い葉を元気に出してくれるのもある。

 

青い葉物がない時も

出てきた葉っぱをちぎり

ご飯の一品にした時も。

 

これらの野菜のタフな生命力。

 

そして

花の蕾をつけ初めた 大根 蕪のへた。

「こりゃあ 先が楽しみだ」

 

大根の白い花

赤カブの黄色の花

小松菜も黄色い。

 

花が咲けば

2度目の人生を 逞しく生きる

黄色や白の花を

口の広い花瓶に 投げ入れ

テーブルの上に置こう。

アラジンの靴みたいな灰皿

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手のひらに載る程の

10センチにも満たない

小さな灰皿。

 

赤の顔料が埋め込まれた

刻まれた花と葉っぱ。

 

金色に光ってはいるが

これは 銅かも知れない。

 

アラジンが履いていた様な

エキゾチックな靴だ。

 

夫が物心ついた時から家にあり

今は

私が探し物をする時に

引き出しや箱の中から

ひょっこり顔を出す。

 

使わないものだからと

捨てるには忍びない。

 

そんな小さな 愛らしいものが

この小さな小屋の中に

幾つか 潜んでいる。

風は強いが 明るい午後

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3月20日

 

とても冷たく 風の強い日だった。

しかし この明るさは 

春がそこまで来ているのを

私に告げる。

 

こちらは まだ 

蕗の薹 オオイヌノフグリ サルナシ

水仙 オウレンの花が開いたばかり。

 

風は強いが 明るい午後の景色を切り取った。

 

では 今日はこれで。

又明日お会いしましょう。

お墓参りに行った

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京都 大原 19日

 

お墓参りに行った。

山から下の街 京都へ。

途中 大原の里の駅に立ちよる。


お墓に供える花を買う。

ヤブツバキ水仙

小さな花束を二つ。

小松菜 ほうれん草 菜の花も買った。

 

暖かい日の空の下。

大原の風景はひたすら 穏やかで長閑だ。

 

遠くに見える山も

木々は まだ葉をつけず

しかし

そのエネルギーの内包を

私は感じる。

 

暖かい車の中。

「運転に気をつけて!」

自分に言い聞かせて

夕方暗くなる前に小屋に帰った。

「白の闇」ジョゼ・サラマーゴ著

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クリスマスローズ

 

数年前の出来事だ思っても

それは 10年前であったりする。

 

「白の闇」を読んだのもつい数年前だと思うが

多分 10年ほど前なのだろう。

読み始めた時から 心臓の鼓動が早くなる様な

衝撃的な内容だった。

 

ポルトガルノーベル賞作家 ジョゼ・サラマーゴ著。

一気に読んだが もう一度読むには 重過ぎる本だった。

 

ある日突然に目が見えなくなる。

失明なら目の前が暗くなるはず。

でも この小説の失明者の目の前は

「白の闇」が深く存在するだけだ。

 

この失明は伝染する。

接触した人は次から次へと失明し

政府は感染した患者を収容所に隔離する。

収容所の中の秩序が崩れ 暴力が蔓延していく中で

一人だけ目が見える女性がいた。

しかし 彼女もやがて失明していく。

 

色のない物語。

白と黒と灰色だけで この物語は進む。

救いのないままで終わるのかと思い始めた頃

終盤に希望の光が見える。

 

冷たく暗い石造りの建物の街で

奇病、伝染病に翻弄される人間達。

ストーリーの大きな流れの中で

キリスト教思想を感じる事も度々あった。

 

新型コロナウィルス感染症のニュースを聞いた時

「白の闇」が心に浮かんだ。

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「白の闇」

ジョゼ・サラマーゴ

雨沢 泰 訳 NHK出版発行

映画化 Blindness

水仙の世界

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強い風で

折れた水仙を指で切り

ガラスの瓶に挿す。

 

窓際に置いた水仙

濃密な香り。

 

オフホワイトの花びらが

太陽に透けて見える。

 

渋い黄色の小さな椀が

シベをしっかりと守る。

 

茎は濃い緑。

葉は迷いなく上を目指す。

 

小さくも 大きい

水仙という花の

確固たる世界。