トミコさんのミニトマト

f:id:URURUNDO:20180823003355j:plain

 

集落のどこの家でも

山から引かれた豊かな冷たい水が

パイプからほとばしり出ている。

それで野菜を洗ったり

鯉を飼っていたりする。

 

うちではこんな便利なものは無い。

 

雨の降らない日々が数日続く。

パイプからの水は止まり

トミコさんの池の中の鯉は

心無しか苦しそうだ。

 

透明な冷たい水が

いつも流れている溝も

枯れている。

 

「ああ、雨が降って欲しいな」

 

明日から台風だ。

又、恐ろしい程の雨が降り

草木をへし折る風が吹くのだろう。

 

風でへし折られる前にと

トミコさんが採ったミニトマト

「傷物やけど持って帰る?」

 

濃いトマトの味と弾ける皮。

おやつに食べた。