玉子の配達

午後4時15分 ヤマケンさんは うちのずっと奥の集落で鶏を飼い その玉子を道の駅で売っている。 村のお得意さんには配達してくれる。 うちもチャックもお得意さんらしい。 村人の中には 「コメリの餌をやってるのに地玉子やない」と うるさい事を言う人も…

「明るいうちに帰ろう」

午後4時半 「ミッドタウン」にて 夫の友人がやって来た。 四人。 うちでお昼を食べ さあ、「ミッドタウン」に 栃餅ぜんざいを食べに行こうと 車を30分走らせた。 まだ紅葉は鑑賞に堪える姿。 車のフロントガラスに 黄色の葉っぱが吹雪いて来る。 ぜんざい…

霧の朝

午前7時半 山の向こうから 太陽が顔を出すのが遅い 谷筋の村。 窓のカーテンを開けると 深い霧の朝だ。 峠まで行けば 雲海が見られるはず。 太陽が顔を出せば あっという間に消えてしまう霧。 朝の一時の贅沢を堪能するとしよう。

山の中に

山仕事をしている「弟君」の チェーンソーの音が聞こえる。 毎日、少しずつ音が遠ざかる。 「しゅっとした男前」さんによると 「弟君」は潔く木を切るらしい。 チェーンソーにオイル お弁当にお茶。 色々な物を担いで目的の木まで 急な山道を歩いて行く。 「…

図書館の裏

図書館裏の風景。 私が一番好きな所。 透明な川が音を立てて流れ ゆったりと寝転んでいる様な山がある。 そして今日は連休で キャンプ場が賑わっている。 木々の間に見え隠れする オレンジや黄色のテント。 乾いた空気と優しくなった日差し。 平和で穏やかな…

原っぱにススキの穂がそよぐ

御年80才のタイチさんは それはそれは綺麗好きだ。 家の前の広い野原。 ススキの葉の背が高くなると それが気になって仕方がないようだ。 毎年の夏 かんかん照りの下 草刈り機でススキの葉を刈り始める。 キーンキーンと刃が石に当たる音。 熱中症で倒れる…

ショータさんのチェーンソー

親方と弟子 ショータさんは90才。 10年程前まで 山仕事を生業としていた。 木を切ったり植えたり 楢の木で炭焼をしたり 栗の木で鉄道の枕木を作ったり。 夏に切った杉や檜を 雪の上を滑らして運んだり 木馬道(きんまみち)を まるでジェットコースター…

六斎念仏

手に持った小さな太鼓を バチで叩きながら ゆったりとした動作で しかし 力強く踊る。 六斎念仏は 太鼓を持った踊り子3名 鉦(かね)二人 笛二人で 踊り、奏でて仏様に奉納する。 空也が開祖だと言われているので 平安時代からこの念仏はあったのだろう。 …

盆の準備で忙しそうだ

午後5時10分 「弟君」が昼前にやって来た。 春に亡くなったお兄さんの初盆だと言う。 私の住んでいる集落でも 盆の準備でそれは忙しそうだ。 蕎麦の種を蒔き 貝割大根みたいになったのを おひたしにする。 仏さんのおかず。 団子もクルクル丸めて 供える…

暑さと湿度でくたくたに

広場で。グループサウンズや井上陽水等 京都市左京区の山の中、久多(くた)。 ここで夏祭りがあるので「来ませんか?」と 「赤のボルボ女子」からのメール。 車で10分もかからない。 30日昼前、のんびりと出発した。 細いくねくねとした山道を行くと 警…

怪談よりも怖い話

午前7時半 「ヒルに血を吸われた。 タラコみたいに大きいやつに」 と、タイチさんが騒いでいた。 私も数日前 ズボンの裾のシミに気がついていた。 足首に血の固まりと血の跡。 うちの集落はヒルがいないはずだった。 でも最近 知らない間に腕にくっ付いてい…

「みかんでも食べてゆっくりしてよ」

愛媛産 みしょうゴールド 「果汁たっぷり ジューシー感覚」だって 姉が送ってくれたみかん。 グレープフルーツみたいな さっぱりとした甘い果汁。 能書きに偽りなしだ。 いつも野菜をもらう トミコさんにお裾分け。 柑橘類が大好き。 夕方京都から帰って来た…

かわいいな・・・

集落の庭に 必ず植わっている花 百日草。 仏壇に供える為に それは沢山の花が 咲いている。 苗を貰って植えはしたが 「地味な花だな」 少し大きくなると 油かすをやる。 又少し大きくなる。 蕾は出たか? お、開きかけたぞ! 咲いた花達を 少し離れて眺める。…

お客が二人

午後4時半 朝 表に出るとむっとする様な 重い空気感。 何をしても汗が吹き出る。 昼前に 表に車の止まる音がする。 山仕事をしている 「弟君」がやって来た。 素麺と スペインオムレツと 塩揉みのきゅうりを胡麻油で和えたもので 昼ご飯を食べた。 「弟君」…

失敗作の「きゅうちゃん漬」

午前6時20分 2日前 トミコさんから「きゅうりを取りに来て」 と言う電話。 そのきゅうりで 「きゅうりのきゅうちゃん漬」を 作るはめになった。 トミコさんがくれたレシピは JAが配ったものだ。 レシピ通りに作ったきゅうちゃん漬は 余りにも醤油が勝ち…

西日を受けた白い家

午後5時 図書館で本を受け取り 新聞を読み 表に出ると五時だった。 太陽が沈むにはまだ早い時間 西日が強い。 道の駅、図書館の駐車場に 車はちらほら。 空が広いなあ。 西日を受けた白い家。 東ヨーロッパかロシアみたいな色をした 除雪ブルドーザーの車庫…

海への長い旅

鮎やアマゴのいる川。 うちの裏を流れる川だ。 「ほー、それはすごい」 と、驚くのはまだ早い。 漁業組合が 軽トラに魚を積んでやって来て 釣るのにいい頃合いのを流すから。 「鰻の大きいのがとれた」 と、奥の集落の人が言っていた。 これは天然鰻だ。 琵…

跳ねる鮎

水の少ない川だけど 今年もやって来る 鮎を釣る人達。 この川に沿った道を歩く。 川面をキラキラと走る光。 そして 跳ねる光。 それは 鮎のジャンプ。 「釣れますか?」と聞かれる。 「いますよ」と答える。 午後に雷のBGM付きで 大雨が降った。 雨は山や畑…

白く輝く光の束

午前6時40分 見慣れた風景も 一度として同じ時はない。 朝の7時前。 まだ 空気は冷たく 草の上の露も乾かない。 山の向こうから やっと顔を出した太陽。 白く輝く光の束。 「おう!」と私の心が唸る。 静かな山里が 眠い目をこすりながら ゆっくりと動き…

マムシの心臓

タイム (Thyme) 「マムシの心臓を9回食べた」 と話すのは90歳のオチヨさん。 山の中へスタコラ入り ワラビや栃の実を採る。 家族の朝食の準備をし 洗濯機を回し その後午前中に サツマイモの苗を200本植える。 マムシを捕まえて ピッと裂き 心臓をパク…

賞味期限日の栃餅

餡入り栃餅と餡ころ栃餅 カワイさんは 栃餅で儲けて まるで旅館の様な大きな家を 高台に建てた。 それは 山の中の田舎道から よく見える。 この村で 昔から作り続けてきた栃餅を 2、3の道の駅に出している。 賞味期限が近づいた栃餅は カワイさんが車で村…

熊にばったり出会ったら

裏の川 「オイッ!」 とタイチさんが叱った。 立ち姿で 杉の皮をはいで 食べていた熊。 声に驚いたのか ああ、面倒だなと思ったのか どちらかは知らないが 大人の熊はのっそりと 山の奥に消えたそうだ。 杉の皮まで食べるとは。 甘い蜂の巣も 木苺もないの?…

図書館の裏

休日の 図書館の裏は 賑やかだ。 道の駅で買い物をして 「ちょっと裏の土手まで」 なんだろうね。 緑濃い桜並木の下。 双眼鏡で鳥を観る人 走る子供 写真を撮る人 カフェに座って山を見る人。 そして私は 山の上に広がる 白い雲にため息。 あの雲の下は 琵琶…

シャクナゲ(石楠花)

午後2時 住む人が いなくなった家へと続く 山の坂道。 そこを 十歩程上がった所。 ミツバツツジの 淡いピンクの花が 群れているその奥に シャクナゲが たっぷりと豊かな花をつけている。 このシャクナゲの事を 村の誰かに話すとしよう。 「ああ、あれはな・…

新しいベンチ

表のベンチが みすぼらしくなった。 そこで 夫が「ピカピカ」の椅子を チェーンソーで ざっと作った。 脚は松の木で 座る所は杉。 去年の暮れに 隣の集落の神社から 貰った松の木。 80年近くの年輪を重ねた松は 想像以上に 沢山の材がとれた。 まずは ベン…

チャックの畑レポート

29日 雪が まだ残っていた頃。 チャックは友達の助っ人と 雪を掘り起こし 土を耕し種を蒔いた。 腐葉土と 牧場から買った 牛糞を鋤き混んだ 栄養たっぷりの土。 久しぶりに畑を覗いたら 豆は芽を出し 蔓が空に向かって 伸びていた。 白い布で覆われた畝。 …

山桜

午前9時 雨の朝 慌ただしく車を出し 細い山道を くねくねと下る。 山桜の淡いピンク 若緑の樹々 赤い芽吹きの葉っぱは すぐに緑に変わるだろう。 朝もやが 山肌を登って行く。 急ぎの私も 思わず車を止める。 「どう見てよ、 たった一週間程のこの姿」 誰彼…

山菜ナムル

椎茸 ハコベ ツクシ 葉わさび 三つ葉 「ライフルマン」が栽培している椎茸 袋にたっぷりと貰った。 星のように小さな白い花のハコベ 一日で盛りが過ぎたかの様なツクシ 花壇に住み着いた葉ワサビ 自生の三つ葉。 三つ葉は玉子に刻んでいれて 綺麗な卵焼きに…

ヒメエンゴサク(姫延胡索)

「ヒメエンゴサク」と、言うそうだ。 原っぱの縁に 薄紫の花を揺らして 群れて咲いている。 見逃してしまいそうな 小さな花だ。 ヒメエンゴサクは 鎮痛、浄血の漢方薬。 淡い紫の花を愛でながら 根を捜す薬草摘みは 楽しい仕事だったに違いない。 今日は強い…

ヤブツバキ(薮椿)

赤いよだれ掛けの 石の地蔵さんが二つ。 その脇に 何百という紅い花をつける ヤブツバキの木が 枝を張る。 今年一番乗りの 花が咲いた。 黄色のめしべの奥には たっぷりとした 蜜がありそうだね。 ぽとり・・・ と落ちる紅い花。 それも 静かで美しいものだ。