思い出

やっと冬の布団を出した

雲ひとつない晴天に 白い半月が浮いていた。 風もなく 空気はキリリとし カケスの大きな鳴き声が あちこちから聴こえた。 枯れた落ち葉が 道の端に溜まり 銀杏の落ち葉はまだ青い。 どの花も咲き終わり 白の山茶花だけが 苔の上に花びらを散らしていた。 い…

柚子と木の鉢

美しく瑞々しい 手のひらに載る小さな柚子。 木の鉢の中の明るい黄色。 アメリカのヴァーモントに行ったのは 数年前の様な気がするが もう20年前。 その地の 小さな雑貨店で見つけた シェーカーの木の鉢に 「おお これがシェーカーの鉢か!」 と 私は小躍…

薊の花

少し湿度を感じる 暖かい日。 窓 ドアを開けると 網戸からゆっくりと 外の空気が 小屋の中に入ってくる。 網戸を通して見る外の様子は 緑に溢れ 何種類かの鳥のさえずりが聴こえる。 小屋の前の道路を モーターバイクの列が 音を立て通り過ぎるのは日曜だか…

黄砂の日 コブシの花

黄砂に煙る山 コブシの花 25日 夕方 図書館に行く途中に コブシの花が 黄砂で煙った山にポツリポツリと咲いていた。 高校時代に読んだ堀辰雄のエッセイ「大和路 信濃路」。 堀辰雄の妻が 信濃路を走る列車の窓から 外の景色を見ていて 「あ コブシの花」とい…

ニコラスからのメール

撮影:ニコラス(Nicolas) in Finland 4年前 有機無農薬農業を うちの近くでやっている チャックのボランティアとして 山奥のこの集落に 数ヶ月滞在したニコラス。 数日前に Facebookのメッセンジャーから メールが届いた。 4年振りというか 初めての事だ…

「孤独の発明」ポール・オースター著  本当にこの本を読んだのか?

メルカリに出品しようと 本の写真を撮った。 ページの間に 何か挟んでないかと パラパラとめくり始めた時に 「本当にこの本を読んだのか?」と 私は 内容を全く覚えていないのに気がついた。 30年前の本「孤独の発明」 ポール・オースター著 オースターの小…

安価な高麗青磁の湯飲み

8、9年前 ソウル仁寺洞(インサドン)の 間口の狭い陶器屋の前。 高麗青磁の湯呑みが カートの中に 雑に入れられ 安価な値段で売られていた。 二つ買い求め 大事にバッグに収めた。 それは手のひらに載る程の大きさ。 淡いブルーに 潔く貫入が入る小さな器…

洲浜と琥珀糖

洲浜と琥珀糖 きな粉に砂糖と水飴を加え よく練った菓子が「洲浜」 しっとりと甘く コクがある。 洋菓子のマジパンに似ている。 そして その素朴な造形と味は 和菓子の原点を感じる。 寒天と砂糖を煮詰め 冷やし固めたのが「琥珀糖」 小豆を固めたもの 淡い…

熱々の蜂蜜レモン

蜂蜜レモン 小さいレモンを 四つ切りにし 湯呑みに ギュッと絞る。 柑橘類の青い香りが立つ。 そこに 蜂蜜をたっぷりと。 ストーブの上のヤカンに 音を立てて沸いている湯を 湯呑みに注ぐ。 染め付けの湯飲みは 40年ほど前に 京都寺町二条の北東の角 若い…

本の整理 処分(3)

1969年 発行 民芸遍歴 「民芸」と言う言葉を知った本だ。 日本各地の陶磁器 染織 漆器などの日常雑器。 李朝時代の陶磁器 工芸品。 江戸時代の木喰の像。 無名の職人の作る物に 美を見出し 日本各地を旅して それらを世に紹介した 柳宗悦。 民芸運動の波…

本の整理 処分

あるひと時 熱中して読んだ本の数々。 それらの本の整理をしながら もう一度 読む事はないだろうと 次から次へと 机の上に積み重なる本。 文化人類学者の川田順造。 アフリカ サバンナのオートボルタ(ブルキナファソ)で 文字を持たない民族を調査した人だ…

任天堂のカルタ(メンコ 面子)

子供時代 三条か四条か 記憶は定かではないが そこから発車する京阪電車の車窓から 必ず任天堂の看板が見えた。 カルタ 花札の任天堂だ。 11月の東寺弘法市で売られていた ヴィンテージ物のカルタを紹介しよう。 勿論 任天堂製だ。 (Google画像より) 敗…

お火焚き饅頭

栗蒸し羊羹 豆大福 お火焚き饅頭 (仙太郎) 京都に40年ほど住んだ。 情操の欠如した大阪(と私は自虐気味に思っている)から 京都に住み始めると カルチャーショックの連続だった。 同じ世代の若者達が早熟で大人びている。 それが まず最初のカルチャー…

一枚の色褪せた 赤い葉っぱ

20日 小屋の近くで 本の間からハラリと落ちる 色が褪せた赤いメープルの枯葉。 それは コーヒーの豆を買いに入った 店の前のメープルの赤い落ち葉だ。 「旅の思い出に」と拾い上げた。 忘れた頃に ひょっこり顔を出す 本の間に挟まれた押し葉達。 必ず 旅…

京都市京セラ美術館へ行った

今日は 11日に行った京都市京セラ美術館について そして 写真を何枚か載せてみよう。 11日 美術館南の疏水 名前が変わると言う時に 何やかやと物議を醸し出した 京セラ美術館。 公募展に出品している友達の作品を見に 暑い京都の京セラ美術館に出かけた…

紫苑の花 小さな蜘蛛

紫苑(シオン) 雨粒をたっぷりと溜めた 薄紫の花びらに 顔を近づけて見る。 離れて見る花と 違った顔をして こちらを見返す。 小さい蜘蛛が 葉と花の間に張った 見えない程の糸をつたい 慌てて右往左往する。 その糸にも 細かな雨粒。 シオンの根本の土の上…

「ブログバトン 」が回ってきた

昼過ぎから 雨も止み 青空が見えて 気持ちの良い日になった。 周りの山も木も草も そして 私の心も 瑞々しさで満ちた。 さて 先日「ブログバトン」 なるものを受け取った。 大胆にも ゲイリー・クーパーを id写真に使っているPONYさんからだ。 あれよあれよ…

愛おしい驢馬

ロバは いつも下を向いている。 長い睫毛の伏し目がちの目。 「シルクロード」を旅するテレビ番組があった。 もうずいぶん前の事だ。 新疆ウイグル自治区の 埃っぽいポプラ並木。 夕陽で 赤くなった景色の中を 荷物をいっぱい載せられたロバが トコトコと歩…

メープルシロップの缶の絵

アメリカ ヴァーモント州にて。 20年も前に 小さな土産物屋で買った メープルシロップ。 冬の間 メープルの樹液を採取し 馬車で運んでいる絵が 缶に描かれている。 中身のシロップは とうの昔に食べてしまい 缶だけが 捨てられもせずに いまだに 大事に小…

人生の中の40年間 必ず 犬 猫がいた

私の人生の中の40年間 必ず 犬 猫がいた。 最初の犬は 新聞の「犬貰って下さい」の広告だった。 まだ バナナが高い果物であった頃 バナナ一房を持って貰いに行った。 飼い主は 別れを惜しんでいるのに 子犬はトコトコと私について来た。 1ヶ月後 父が元飼…

小さな皿の中の大きな世界

雁が飛んで行く。 波静かな海の中に立つ 鳥居の先は 神社か 家か。 何百年も経った大きな松の木。 夕暮れ近くの 穏やかな時を 呉須の藍で濃淡をつけ 慣れた筆さばきで 海と空と山と そして 人の気配まで描いてある。 小さな楕円の皿の中の大きな世界。 京都…

荷物を抱えて郵便局へ

郵便局の川向こう アメリカの友人へクリスマスギフト。 友達にDVDを2枚。 もう一人の友達に借りていたCD。 抱えて 郵便局へ。 今日送っても アメリカへ到着するのはクリスマス間際かもしれない。 DVDの内一枚は 韓国映画「春の日は過ぎ行く」 録音技師の青年…

赤い錆色のペンキ

青い空に雲が浮かび 又 ある時は雲ひとつない 見事な青空の一日だった。 風はすっかり秋の冷たさで 空気はからりとしていた。 光はススキの穂を輝かせ そんな穏やかな秋日和。 台風が近ずいているニュースと この明るさとの落差。 夫が屋根のトタンに 赤い錆…

よその家を訪ねる時は 手ぶらで行ってはいけない

アラムの手土産 チャックの畑のボランティア。 オラムが金曜日にここを離れると 夕方に言いに来た。 そんなに長い期間ではなかったが よくやって来た。 スイス人のカミル ポーランド人のジャガッシュを 思い出すお喋りなイスラエル人。 「じゃあ 晩御飯でも…

フランス土産のマロンクリーム

ポーリンがやって来た。 覚えていますか? チャックの畑のボランティアの 20才のフランス娘。 料理上手で 小麦粉を発酵させたイーストで ずっしりとした パンドカンパーニュを焼いてた子。 3ヶ月の滞在後 ヒッチハイクで東京迄行ったり。 去年の9月にフ…

フランス娘 アシュレッド

午後4時40分 台風21号の三日程前に チャックの畑のボランティアで フランスのリールという ベルギーとの国境沿いの街からやって来た 21才のフランス娘、アシュレッド。 大人も震え上がった21号台風にも 怖くなかったと強がった。 そのフランス娘が …

炭の燃える音と色

さて 昨日 トミ子さんから貰った炭。 早速夜にストーブにくべた。 燃える薪の上にそっと載せる。 パチパチと音をたてて しびしびと小さな炎をあげて燃える。 炭が暖房手段だった子供時代。 家族が火鉢を囲み みかんを食べたり餅を焼いたり。 ラジオを聞きな…

国際都市なのか?

ゲンノショウコ(白) 雷雨の中を 「キャッキャ」と笑いながら 自転車で走り去るフランス娘二人。 山村によく登場する外国人達 「一体そこはひょっとして国際都市なのか?」等々 想像を巡らしておられる方達の為に 少しの説明をしよう。 このブログに脇役と…

ナツメヤシの実 デーツ

デーツ(Date) 「見かけは本当に悪いでしょう?」 と、デーツは頭をぽりぽり。 「確かに、そのビジュアルじゃあね」 と、口に出して言う訳にもいかず・・・ でも、一口食べれば その濃厚で深い甘みに感動する。 どこか、干し柿の味と食感に似ている オアシ…

カミルからの荷物

チャックの畑のボランティアとして 夏から冬まで集落にステイしていた スイス人のカミル。 冬の日本から夏のニュージーランドを経由して スイスに帰ったのは12月の終わりらしい。 そのカミルから荷物が届いた。 お母さんが編んだマフラーと帽子。 私の住所…