二坪小屋(表から見える灯り)

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夕方の

大粒の雨がざーっと降り出す

ほんの少し前。

 

表から見た

二坪小屋のランプの灯りが

余りにも

私の理想の光を放っている。

 

空は暗い灰色。

額縁の様に切り取られた窓。

その中に控えめな光。

 

その光を受けて

黄色のウマノアシガタ

気分がよさそうだ。

 

出来上がる迄随分かかったが

どの部分も思い入れがある。

 

だから

表から見えるランプの様子にさえ

心が踊る。

しっとりバナナクッキー

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いつもの事だ。

おやつが無くなり

寂しい気分。

クッキーでも作ろう。

 

晩ご飯の準備と同時進行で

卵を割り 小麦粉を捏ねる。

 

バナナを手で

クチャクチャと崩し

クッキー種に混ぜる。

 

いつものレシピに

バナナを加えると

柔らかくなるのは想定内。

砂糖は減らした。

 

スプーンですくって

オーブンの天板に載せる。

 

いつもの様に

180℃で16分。

 

焦げ目のついた

ケーキみたいなクッキー。

バナナの香りと甘さ。

 

食べる時に

たっぷりとシナモンを振りかける。

 

明日のおやつなのに

シナモンの香りが

「おひとつどうぞ」と語りかける。

 

お一つではなく

もう1つ もう1つ・・・

ほうじ茶と共に。

自然の不思議

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階段のウマノアシガタ

こんな所によく花が咲くものだ

と、思う時がある。

岩に貼り付いた様に立つ木も同じ。

 

道路から小屋のドアまで

数段の石の階段。

 

ここにも毎年沢山の

黄色い花ウマノアシガタが咲く。

石の隙間のほんの少しの土に。

光を浴びたり

風に吹かれたりして揺れている。

 

岩を被う苔から芽を出した木。

細い 細い木に

手のひらを広げた様な葉っぱの

コシアブラ

 

逞しい植物達が繁茂したり

去年群生していた蘭が

すっかり消えてしまったりと

自然の不思議に

驚く日々だ。

水田の中の空

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「ミッドタウン」への途中

水がはられた田んぼ。

 

畦で区切られた

水に映る土手の葉桜の木や

山の姿

今日の美しい青空の

逆さまの世界。

 

ツバメが飛べば

田んぼの水に

その姿を捉え

夜の優しい風に

水が揺れれば

月も揺れる。

 

山からの水をはった水田。

そこに植えられた

繊細な稲苗。

真っすぐに

青空の中に並んでいる。

一日が終わる夕闇

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午後6時40分

午後6時40分。

山の中の村に

街よりも早い夜がやってくる。

 

空はまだほの暗く

あの空の向こうは

どんな夜の景色なのか。

 

家の窓から灯りが漏れて

テレビのニュースの音がして

暗い道を

LEDの眩しい光が

暗い夜道を明るく照らしているのだろう。

 

夜の海辺の町では。

波の打ち寄せる音と潮の香りがする。

そして やはり

夕ご飯の鼻をくすぐる匂いが

窓から流れて

誰かを呼ぶ声が聞こえていたりする。

 

春のまだ寒い夜に

白い月の光と

神話を語る星座と

しっとりとした夜露が

明かりの漏れる

家を 優しく包む。

 

一日が終わる夕闇は

ほっとした安らぎと共に

あって欲しい。

 

 

春のエネルギー(4)楢の木

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楢の山

山里や田舎の植物や木には

ちゃんとした存在の意味がある。

 

家の周りの梅の木は梅干し。

甘い柿はおやつ

渋柿はおやつと正月飾りの干し柿

ワラビ、ゼンマイ、蕗は冬の保存食に。

塩で漬ける。

山椒の木は鯖のなれ鮨には欠かせない。

 

そして山には楢の木。

これは

囲炉裏の薪や炭に。

 

どれもこれも

今は昔の話。

 

生活の為の知恵として

ずっと受け継がれて来た

植物との共存。

 

うちに植えてある木を見ても

集落の人は当たり前の様に

「これは食えるんか?」と聞く。

 

「食」が生活の中心であったかが

よく分かる言葉だ。

 

誰も伐らなくなった楢の木は

春の山を美しく彩る。

淡くて白っぽい芽吹きの葉っぱ。

 

太陽の光を浴びて

風に揺れる楢の林。

青空の下で

美しい。

春のエネルギー(3)山桑

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雨上がりの山桑

チャックの小屋の側の

細い枝に満載の

赤や黒い実。

それが山桑の実だと知ったのが

去年の夏だ。

 

そして

うちの小屋のすぐ側の

無作法な枝振りの邪魔な木

それも山桑だった。

 

強く降った

雨の雫にまとわれ

初めて実を付けた

黄緑の山桑の実。

 

「おやおや 初めまして」

 

熟れて赤や黒くなるのを楽しみに

日々その成長を仰ぎ見よう。

 

甘酸っぱい実が

上手く採れたなら

ジャムにしたり

そのまま食べたり。

 

自然は厳しい仕打ちをする時もあるが

こんな風に

とても楽しい贈り物をくれる時もある。