山の村では
まだ雪が残っている所が
あちらこちら。
今日は一日中
雪の表面から
靄が立ち上がっていた。
鳥達は相変わらず鳴き
まだ芽吹かない木の枝には
雨の露が連なっている。
大きな鴨が一羽
川の面を上流をめがけて
駆け上がる様に
羽ばたいて行った。
ずっと小雨が降って
冷たいひな祭りの日だった。
チウ・ジージェは
幼少時から書家に書を習い
現代美術に入った。
展覧会のタイトルの「書く事に生きる」
まさに筆一本で自己を表現する。
「逆さ書きの書道」Google画像より
白の手透きの紙に
筆と墨で書かれた字や絵。
それは作者の内側に在る
深い意味と時間を解き明かすより前に
只々 美しい。
Google画像より
チウ・ジージェは
ペンライトでも書く。
風景を紙に代えて
シャッター速度をぐんと落として
カシャ。
Google画像より
角の取れた石に
人間の「業」を意味する文字を篆刻。
それを拓本とした紙が
壁一面に貼られた作品は
一見軽やかである。
読み進むうちに
文字の持つ意味が見るものを圧倒する。
Google画像より
壁の筆と墨と紙の作品と
一見ユーモラスなインスタレーション。
この繋がりが分からなかった。
地球上では
国境で紛争を起こしている地域が沢山ある。
その国名とその地域の地図を
床に黒で記している展示もある。
例えば「Tsushima South Korea」
「Pakistan Kashmir」の様に。
チウ・ジージェ
人間の内なる世界と
その人間が生きている世界。
その二つの世界を
「書く」という行為で
表現しているチウ・ジージェ。
「チウさん 楽しかったです」
小屋を出発したのが朝の6時50分。
帰宅が夜の11時。
夫と「弟君」と私の
18きっぷの各駅停車の金沢行き。
次の日の今日、やたらと眠い。
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「Google画像より」の写真は
美術手帖のサイトからお借りしました。
ありがとうございました。
Google画像より
3月1日から
「青春18きっぷ」が使える。
気になっていた展覧会
邱志杰(チウ・ジージェ)の作品に
会いに行く事にした。
期間は3月3日まで。
18きっぷで「金沢21世紀美術館」へ。
チウ・ジージェは
1969年、中国福建省で生まれた。
文化大革命中に生まれ
毛沢東思想の教育をうけた。
文革後に書家、和尚、道士から書を習い
篆刻 拓本を取り
文人文化に浸った。
こうやってスタートした
チウの美術の道は
旧文人と民間の文化
続いて行く。
短いプロフィールだけを
頭に詰め込み
各駅停車の電車の旅で
北の琵琶湖の旅も楽しみながら
チウ・ジージェの作品を見てこよう。
では
展覧会の感想は後日に。
溶けた雪の下から現れた
薪の山を見ていると
呑気者の私でも焦ってきた。
紅葉 銀杏 桜 樅 柿
楢 杉 桧 欅 栗 ひば
それぞれの違う香りが楽しい。
栗はパチパチと爆ぜるし
桜は桜餅の香りがする。
細い枝から太い幹まで。
夫がどんどんヨキ(斧)で割って
私が薪棚に積んでいかなければ。
全部整理が出来れば
又 栗の大きなのがやって来る。
他の事は一旦中止で
薪作りに集中しよう。
猫車よ
頑張っておくれ。
この猫車のタイヤが
パンクすると車輪ごと買う。
800円程の中国製。
売っているのはこれだけだ。
ホームセンターで見て驚いた。
こんな事でいいのか?
使い捨ての小さなタイヤ。
4時になると
暖かかった空気が
すっと冷たくなる。
北風も吹いて
ああ 春はまだ少し先だと
思わせられる。
首にネックウォーマーを
2枚被り
夕方の夫の毎日の仕事
薪作りを手伝おう。
雪に埋もれていた薪用の木が
数ヶ月振りに顔を出し
忙しなくこちらを見ている。
割られた薪を
猫車に山の様に積んで
薪棚まで何回も往復。
次の冬には
よく乾いた薪で
暖がとれます様に。
夕食に
ジャガ芋を
電子レンジでチンした。
芥子の効いたドレッシングを
カチャカチャと作り
熱々のジャガ芋に回しかけ
雪が溶けて
顔を出したミントの葉を
手でちぎりながら
たっぷりと加えた。
「さあ、食べよう」
「河は呼んでる」
私が子供の時
この歌がよくラジオから流れていた。
何年経っても
私はこの曲を聴くたび
柔らかな色調の
印象派の絵の様な
景色が頭に浮かんでくる。
南仏プロヴァンスのデュランス川。
その流域のダムの建設をめぐって
一人の少女オルタンスが
成長していく様子を描いた
フランスのヒューマンドラマだ。
原作は「木を植えた男」の
プロヴァンスの作家ジャン ジオノ。
(wikipediaより)
大きくなってから
テレビでこの映画も見ている。
陽射しが明るくなり
流れる河の音も軽い。
この音を聴いていると
やっぱり
私はこの曲のリズムとメロディを
頭に浮べている。
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インディオが被っている様な友達の帽子。
うちに遊びにきた時
いい帽子だと褒めた。
弘法さんで売られているその帽子を
私にもと去年の秋に
プレゼントしてくれた。
北風の強い今日も
この帽子を被って
ぶらりといつものルートを歩く。
雪の消えかけた楢の林から
遠く聞こえる犬の声。
野鳥達の声も騒がしい。
山と山の間の細い溝から
雪解けの水かほとばしる。
飛行機のジェット音が
頭上から届く。
見飽きた景色だが
耳に入って来る音や響きには
知らず知らずに耳を澄ます。
ドアを開け
ぶらりぶらりと道を歩き
自然の発する音を聴いていると
少しくらいの心の重みも
風と一緒にどこかに飛んで行く。
ぶらり歩きの友。
インディオ帽と
ポケットに入れた
小さなカメラだ。