山の陰に太陽が隠れると
ヒグラシが鳴く。
樹々の間に染み渡る様に鳴く。
ヒグラシの合唱に
合いの手を入れる様に
ウグイスが変調で鳴く。
深夜に近く遠く
幾つもの鳥の声が聞こえて来る。
そして
河鹿(カジカ)の騒がしい声も。
穏やかな流れになった
川の軽やかな音がそれに重なる。
上賀茂
大原を過ぎると
むっとした空気に変わる。
鴨川の流れは穏やか。
でも 岸の草が倒れて
豪雨の時は
あそこ迄水が来たのだ。
今日から2週間。
暑くて息をするのも苦しい様な
京都の南に出かける。
お弁当を持って。
塩と胡椒を効かしたチキン胸肉のロースト。
キュウリとスライス玉ねぎと一緒にサンドイッチ。
パンは自家製のパンドカンパーニュで。
紫蘇で赤く染まった自家製の塩辛い梅干し。
三角のおにぎりの真ん中に入れて海苔を巻く。
卵焼きと唐辛子を焼いて醤油と鰹節で和えたのとか。
簡単な簡単なお弁当だが飽きない。
豪雨の惨状が耳に目にはいる日々。
お弁当の話など不謹慎な気がする。
合歓の木(ネムノキ)
数日降った豪雨が去って
朝 窓から見上げた空は青空で
そこには白い雲が輝いていた。
時々 シャワーの様な雨が降った。
買い物に出かけた町の空には
大きな虹が半分かかっていた。
ホッとした安堵の気持ちと
頭のどこかに残っている不安感が離れない。
平凡な日常がとても大切だ。
災害が起こるたびに思う。
五十年、数十年に一度の豪雨と
ニュースで伝える。
しかし
私は5年で3回の深刻な豪雨に遭っている。
5年前の18号台風。
うちの裏の崖が
想像を絶する川の増水で50m程崩落した。
去年の21号台風、そして今回。
暗黒の宇宙に地球が誕生し人類が現れ
気の遠くなる時を経て
豊かな緑と水の惑星になったのに。
地球や気候の変動はこんなにも急激にやってくるのか。
自然の脅威には人間は勝てない。
うちに侵入して
私の目玉や心臓が飛び出る程ビックリさせた蛇。
小屋の中のどこかにまだいると思う。
マムシを9匹捕まえて
生の心臓と焼いた体を食べた
猛者というか猛女というか
90才を過ぎたオチヨさんが言う。
「ねえさん、蛇が家に付くと
金や物がどんどん入って来ると言うぞ」
金も物も
勿論蛇も要らない。
心底そう思う。
アラゲハンコンソウ
粗毛反魂草
なんと言う気骨ある名前だ。
そして
愛らしい風貌を
お喋りな娘の様な姿にしているのが
真ん中の焦げ茶色。
初冬にそれが種になり
土にかえり
次の年の初夏に沢山の芽を出す。
そんな律儀で愛らしい花に
粗毛反魂だなんて名前をつけて・・・
冗談かと思えば
ちゃんとした学名だった。